『ひとを“嫌う”ということ』(中島義道著)ひとを「嫌う」ということを自分の人生を豊かにする素材として活用すべき。
私たちは誰かを嫌いになること、誰かから嫌われることは、つらく、不快で、いけないことだと考えがちである。著者はひとを<嫌う>ということはそんなにいけないことなのか、と疑問を投げかける。日常的に人を嫌いになるということは、好きになることと同様にごく自然であり、「嫌い」としっかりと向き合うことが人生を豊かにしてくれると説く。
「われわれは自他のうちに『嫌い』を確認したら、いたずらに恐怖心を募らせたり、無理やり抑圧することはやめて、冷静沈着に正視し、その凶暴性を適当にコントロールし、それを自分の人生を豊かにする素材として活用すべきでしょう。」
私たちは、ひとに嫌われるのはイヤだが、ひとを嫌うことは何かと理由をつけて正当化しようとする。その不平等はわたしたちの心を歪ませる。それではなく、ひとを嫌うことはごく自然で当り前なことだと思えば、あっさりとひとと付き合っていくことができるし、対立しても妬みや憎しみや自己嫌悪という負のスパイラルに陥ることもないだろう。
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