『天災と日本人 寺田寅彦随筆選』(寺田寅彦著,山折哲雄編)地震や津波といった天災からこの国を守ることこそが「国防」である。
地震列島日本に暮らす我々はいかに自然と向き合うべきか――。災害に対する備えの大切さ、科学と政治の役割、日本人の自然観など、山折哲雄さんが編んだ寺田寅彦さんのエッセイ集。関東大震災、第二次世界大戦以前に書かれたものにも関わらず、現代の日本人に向けて書かれたものかと思うくらいに腑に落ちる。
国防とは、他国の侵略行為から国を守るだけではない。地震や津波といった天災からこの国を守ることもまた国防であり、地震や津波といった天災の多い日本という国を守るという意味では、軍隊を持つよりも地震や津波といった天災への備えをしていった方がよっぽど、この国を守る、という目的を達成できる。平和は外交的努力によってもたらすことができるが、地震や津波といった天災は問答無用でこの国を脅かすからだ。
国防とは他国と戦える軍隊を持つことだという、短絡的で浅はかな脳みそしか持ち合わせていない、アベとかイシバとかコウムラとかいうひとたちに読ませたい本だ。
« 『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』(夏井睦著)人類にとっての禁断の実は林檎ではなく小麦だった? | トップページ | 『PLAY×LIVE「1×0」COMPLETE<コンプリート>大阪公演』(エピソード1) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【安吾を読む】『木枯の酒倉から 聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話』「俺の行く道はいつも茨だ。茨だけれど愉快なんだ。」(2014.07.11)
- 『金融緩和の罠』(藻谷浩介・河野龍太郎・小野善康著、萱野稔人編)金融緩和より雇用を増やすことこそがデフレ脱却の道。(2014.07.10)
- 『ひとを“嫌う”ということ』(中島義道著)ひとを「嫌う」ということを自分の人生を豊かにする素材として活用すべき。(2014.07.09)
- 【安吾を読む】『街はふるさと』「ウガイをしたり、手を洗ったりして、忘れられないようなことは、私たちの生活にはないのです。」(2014.07.08)
- 『天災と日本人 寺田寅彦随筆選』(寺田寅彦著,山折哲雄編)地震や津波といった天災からこの国を守ることこそが「国防」である。(2014.07.04)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント