青山円劇カウンシルファイナル『赤鬼』(2014/06/04-15)いつか、黒木華の夜長姫を観てみたい。
青山円劇カウンシルファイナル『赤鬼』
期間:2014年6月4日(水)~6月15日(日)
会場:青山円形劇場
演出:中屋敷法仁
出演:黒木華、柄本時生、玉置玲央、小野寺修二
私にとっては久々の青山円形劇場。来年2015年3月に閉館予定というのが、惜しい。
野田秀樹の作品『赤鬼』を若い演出家・若い役者たちが演じる。野田秀樹の作品に野田秀樹が出演していないことが私にとっては新鮮。しかし、野田秀樹の作品の独特の言いまわしは、どんな役者も野田秀樹にしてしまう。
ある日、村の砂浜に肌の色も言語も違う「赤鬼」が現れた。「赤鬼」は人を喰うと噂され、村人は「赤鬼」を迫害し、そして殺そうとする。村八分にされている「あの女」は、白痴の兄「とんび」、嘘つきの「ミズカネ」と共に「赤鬼」を救おうとするが・・・
野田秀樹は、演劇のテーマについて語られることを極端に嫌っているようだが、この作品のテーマは、「差別」である。ひとは自らの共同体を守るために、異物を遠ざけ、取り除こうとする。しかし、「鬼が人を喰う」のではなく、「鬼を喰うのが人」である。故に、人は鬼である。自分と反対側からみたときに、人は鬼になる。
「あの女」という名前を持たない主人公を演じたのは、黒木華(はる)。第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したことで注目されているが、野田作品のヒロインとしては、私としては『贋作・桜の森の満開の下』の夜長姫(毬谷友子)に匹敵するような怪演を見せてくれた。いつか、彼女の夜長姫を観てみたい。そんなことを思わせる女優だ。(これは、私にとっては最高級の賛辞である。)
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