Bunakamura25周年記念『殺風景』最初から最後まで嘘臭い匂いのする家族の物語。
Bunakamura25周年記念『殺風景』
期間:2014年5月3日(土・祝)~5月25日(日)
会場:Bunkamura シアターコクーン
演出:赤堀雅秋
出演:八乙女光、大倉孝二、荻野目慶子、江口のりこ、近藤公園、大和田美帆、尾上寛之、太賀、福田転球、駒木根隆介、安藤聖、キムラ緑子、西岡徳馬
赤堀雅秋さんの演出作品ということで興味を持って観てきました。正直、ジャニーズ君が主演というのが不安だったのですが、脇を固める俳優陣が実力派のひとたちなので、なんとかしてくれるだろうと思いながら。
舞台はかって炭鉱の町として栄えた九州の町(大牟田あたりと思われる)。そこで、お隣の住人を皆殺しにするという事件が起きる。その事件を起こした家族の物語。
テーマは家族。そのやっかいな人間関係。家族の尊厳だ、戦争だと息巻きながらも自らは何も決められず、また手も下さない父親、表面上は目立たない波風立てないように振る舞いながらも内面にはどす黒い妬みや恨みを抱く母親。俺は何も知らない関係ないとあくまで傍観者の立場をとり続ける長男。そして、そんな家族の中で自分の在り方がわからない二男。長女はそんな家族と断絶している。
母親の荻野目慶子さんの演技にゾクゾクする。
以下、ネタバレを含みます。これからこの芝居を観る予定の方は読まないでください。
物語の終盤、「殺風景」という言葉が一度だけ出てくる。これは、私が私の生まれた地方都市に戻る度に感じるものと恐ろしく一致していた。その地方都市も色彩がなく、時が止まっているかのようだ。まさに殺風景で、そしてその風景はどこか嘘臭い匂いがする。
そして、この物語で描かれる家族からも、それと同じ匂いがする。
弟が姉にかけた電話の内容は、本当に姉が語るように他愛もないものだったのだろうか。すべては藪の中である。最初から最後の最後まで、そんな嘘臭い匂いが充満しているお芝居だった。
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