『星間商事株式会社社史編纂室』(三浦しをん著)文章を綴る、小説を書く、ということは、誰かの想いを残すこと。
川田幸代は中堅商事会社の社史編纂室に勤めている。幽霊部長にやる気のない課長、わけありで社史編纂室に飛ばされてきた同僚と、ゆるゆるの職場。しかし、それは彼女にとって都合の良い職場だった。それは、彼女が趣味の同人誌製作・販売に没頭できる環境だったから。
しかし、社史編纂の仕事を進めていくうち、幸代たちは、この会社の暗部を嗅ぎつけてしまう。歴史の陰に抹消されそうになるその秘密を、その秘密に隠され消し去られそうなひとの想いを、彼女たちは残そうとする。
文章を綴る、小説を書く、ということは、誰かの想いを残すこと。例え、それが社史という、誰も読まなさそうなものであっても。会社という組織の中で、ギリギリの戦いを彼女たちは成し遂げた。
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