『偉大なる、しゅららぼん』(万城目学著)ある言葉に違和感を覚えれば、この物語のどんでん返しが予想できたりするかも。
高校入学を機に、琵琶湖畔の街・石走にある日出(ひので)本家にやって来た日出涼介。本家は石走にあるお城をまるごと住まいにしており、食事は一流ホテル並み、学校には舟で通うという、なんとも非現実的な生活が彼を待ち受けていた。その跡取りである淡十郎も自分の思いとおりにならないと気が済まないお殿さまぶり。お供扱いの涼介は登校初日から淡十郎に振りまわされる。
そして、日出家には秘密があった。日出家は琵琶湖から特殊な力を授かっており、その力を使って勢力を伸ばしてきたのだ。時に強引な方法で。一方、同じく琵琶湖から特殊な力を授かった一族がいる。その棗(なつめ)家の広海と涼介たちは同じクラスになり、そしてその両家の対立した歴史のとおり、初日から対立するのだが、両家の前にさらに強大な敵が現れて・・・。
序盤に何の説明もなくある言葉が唐突に出てきて、その言葉に違和感を覚えれば、この物語のどんでん返しが予想できたりする。「鹿男あおによし」を読んだことがある読者なら、そのどんでん返しに気付くかもしれない。まあ、っ「しゅららぼん」の意味には笑いましたが。
それでも、この物語には勢いがある。文庫本にすると結構な厚さの本だが、一気に読ませてくれる。
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