【安吾を読む】『もう軍備はいらない』「拙者は戦争はいたしません、というのはこの一条に限って全く世界一の憲法さ。」
「有りあまる金だの土地だのは持たないし、むしろ有りあまる物を持たずにモウケをそっくり生活を豊かにするためにつぎこんでいる国からは、国民の生活以外に盗むものがない。そしてその国民が自ら戦争さえしなければ、その生活は盗まれることがなかろう。」
アベさんとかイシバさんとか、数に物を言わせて、日本を戦争のできる普通の国にしようとしているようだが、彼らは、かって日本が先の世界大戦のような馬鹿げた戦争を仕掛けたということを、そして沖縄を占領され、日本全土を焦土にされ、広島と長崎に原子爆弾を落とされ、そして若者をお国のためとバクダンを積ませて敵艦に突っ込ませ、捕虜になるのを許さず自決を迫ったことを、彼らはスッカリ忘れている。
イシバさんは整然とデモをする行為をテロと呼ぶそうだが、強行採決などという民主主義に対するテロを繰り返しているのはイシバさんのいる自民党ではないか。
「腕力と文明を混同するのがマチガイのもとである。原子バクダンだって鬼がふるまわすカナ棒の程度のもので、本当の文明文化はそれとはまるで違う。めいめいの豊かな生活だけが本当の文明文化というものである。」
イシバさんは原子力発電所を将来、日本が核兵器を持つための安全保障だと思っているようだが、それと引き換えに、数万人のひとたちが故郷から避難せざるをえなくなり、故郷に帰れるメドすら立っていないこの状況は文明国と言えるのか。
「人に無理強いされた憲法だと云うが、拙者は戦争はいたしません、というのはこの一条に限って全く世界一の憲法さ。戦争はキ印がするものにきまっているのだ。」
本当にこの世界一の憲法を変えようなど、キ印のするものにきまっている。この世界一の憲法を変えないようにするためには、この憲法を世界遺産に登録してしまうことだ。世界遺産にしてしまえば、この憲法を変えるなどということができなくなる。憲法を守るための一手はそれかもしれない。
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