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共著の「ふしぎなキリスト教」が面白かったので、読んでみた。
「日本以外のたいていの国では、経済・政治・法律・・・・・・社会生活を、まるごとひっくるめたものが『宗教』なんです。」
なので、グローバルに活躍するためには、まず宗教を理解すること、ということになる。一神教と多神教では生きることの意味はまるっきり違うし、一神教の中でもユダヤ教、キリスト教、イスラム教、では考え方が違ってくる。ましてや多神教は多種多様、日本のように土着の神と仏教がごっちゃまぜになった特殊な例もある。
この本で面白かったのは、「強欲」な資本主義について述べている部分だ。キリスト教の世界観では、
「大儲けしたひとは、市場と神によって祝福されたのであって、努力したかとは関係ないと考えるのです。」
「与えられたものは、感謝をして、自分のために使っていいのです。それをわざわざ断ったり、苦行したりすることは、罪になります。金持ちは金持ちのままでいるのが正しいということになります。」
「お金を儲けて何が悪い」というのはかの世界では正しい。儲けることにやましさはないのですから。
そして、キリスト教の世界、とくに階級制度のないアメリカでは、「成功」することが人生の目標になる。一方で仏教の世界では、(仏になるために)「努力」することが人生の目標になる。
グローバル化だのと言われるが、それはキリスト教の世界観、とくにアメリカの世界観に合わせることに他ならない。
「Sweet Pop Soda アイドル歌謡曲イベント」
日時:2014/01/26(日) 19:40~、20:50~、22:05~、23:30~
場所:JAN KEN PON(恵比寿)
赤坂で徳永愛さんのソロライブを観た後、恵比寿JAN KEN PONにアイドル歌謡曲イベントに出演する風間惠理さんを観に行きました。
全部で4ステージありましたが、風間っちが出演したのは3ステージ目まで。
1stステージは、キャンディーズのカバーグループ「スイートポップ・キャンディ」としての出演。最初から出てくるとは思っていなかったのでビックリ。そして、キャンディーズの曲ではなく、「ヴァケーション」「ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」「恋は焦らず」「間抜けなキューピット」といったオールディーズをキャンディーズの衣装で歌ったのが新鮮でした。聞くところによるともともとキャンディースも洋楽カバーもしていたようで、「スイートポップ・キャンディ」もこういう曲を歌うそうです。
↓衣装替えして、キャンディーズの曲も歌いました。(念のため。一番左が風間っちです。)
2ndステージは、70年代アイドルの曲。風間っちは「私の彼は左利き」を歌いました。その他、ピンクレディ、桜田淳子、南沙織、アグネスチャン、山口百恵の曲などが歌われて、最後はやっぱりキャンディーズでした。
↓二度目の出演。衣装はナンスィさん(中央)の手作りだそうです。
3rdステージは、80年代アイドルの曲。Wink、松田聖子と続いて、出てきたのが、これだ!
↓出た!スケバン刑事・麻宮サキ(初代)。
最初出てきたとき、可愛すぎて誰だか判らなかった(笑)。歌ったのは斉藤由貴の「白い炎」。
ワ~ルーな浅野ヨンエさんがCHANCEに入った時、ガチでワルな人がいると思ってビビったと言われる風間っち。スケバン姿が似合いすぎ(笑)。
この後、河合奈保子、酒井法子、早見優、中森明菜、小泉今日子の歌が歌われました。
4ndステージは風間っちの出番なし。50年代・60年代のオールディーズが歌われていました。お客さん、上手にダンスを踊ります。私も踊れたら良いなあと思いますが・・・。BOYZ入りの道は遠い(遠い目)。
セットリストは、ワンダラー・タカさんのブログ記事「アイドル歌謡曲イベント」に載っていますので、ご覧ください。(その記事の最後の一文は読み飛ばしてください^^;)
風間っちは2月はJAN KEN PON出演の予定がないようです。残念。固定客が増えれば風間っちの出演も増えるかな。援軍ヨロシク。
風間っちの歌を次に聴くことのできる機会は、
2月24日(月) 赤坂 Bar Carpediem「Stomple Magic Tap & Oldies Live」
※詳細未定?
「徳永愛ソロイベント~ちょっと遅いね、 新年会!!2014~」
日時:2014/01/26(日) 16:00~
会場:スタジオCHANCE(赤坂)
3/21のデビュー15周年ライブに向けて、月1回ライブに出演している徳永愛さん。1月は愛ちゃんがCHANDOLLのメンバーとして毎週末ライブに出演しているスタジオCHANCEを借りて、ソロイベントを行いました。
セットリストは徳永愛さんのブログに出ていますので、そちらもご覧ください。
ライブ中にメモを取らずにセトリを書くのが趣味の私としてはカンペキなセットリストを出してドヤ顔したかったのです(←この人、カンペを覗き見どころかガン見してました:内部告発)が、ご本人に先を越されました。
【セットリスト】
1.LOVE☆LIVE☆LIFE
2.そんなあなたが好きなんです
3.PURENESS!!
4.ダイエットウーマン
5.Friends
6.No.1計画
7.Beginning
8.SHAKE IT
9.NIGHT RAIN
10.オレンジプラネット
11.Heartful Candy
12.Carry out revolution
EN.LOVE is the BEAT
俄かファンの私が言うのもおこがましいですが、良いセットリストだと思います。徳永愛さんのファンって、東京パフォーマンスドール(TPD)のときから応援しているファンもいれば、声優をやっていたりアニメやゲームの歌を歌っていたときからのファンもいれば、ソロ歌手として活動してからファンになったひともいるでしょう。また、私のようにCHANCEの研修生としてここスタジオCHANCEで初めて徳永愛さんに出会ったファンもいるでしょう。そして、このセットリストって、そのどの時点で徳永愛さんのファンになったひとでも楽しめる内容になっています。
幸せモードの「LOVE☆LIVE☆LIFE」で始まり、これも楽しい曲「そんなあなたが好きなんです」に続く。
「PURENESS!!」は作詞もした曲ですが、「詞を書き終わったら他所の子みたい」と言っていました。それは詞を書いた徳永愛と、それを歌う徳永愛が別物だからだと思います。表現のベクトルの向きが違うから、ひとまわりして徳永愛の書いた詞を徳永愛が歌えるようになるのだと。久々に歌ったのか、詞が出てこなかったり間違ってしまったのは残念でした。
そして、最初のMCで正月にお餅やチーズクラッカーを食べ過ぎて体重が増えた、という話題をしていたので、この曲歌いますフラグは立っていた「ダイエットウーマン」。キターーーーーーーーーーーーーーーーーー。
この歌を聴きたくて、聴きたくて、事あるごとにリクエストしていたのですが、やっと念願かなってこの曲を聴くことができました。あまりにしつこかったので愛ちゃんも根負けしてくれたのかな。ありがとう。
(ただ、私のような俄かファンのリクエストが通ってしまい、ずっと愛ちゃんを応援していたファンのみなさんが聴きたい曲が選から漏れてしまったかも。ファンのみなさん、ごめんなさい。)
「Friends」「No.1計画」「Beginning」はゲームやアニメの曲。ソロとしてデビューする直前の頃の思い出の曲。ファンの掛け声も大きかったように思いました。愛ちゃんだけでなく、ファンにとっても大切な曲なんでしょうね。
「SHAKE IT」「NIGHT RAIN」はTPD曲。ここスタジオCHANCEで愛ちゃんが歌っている曲です。「NIGHT RAIN」はスタジオライブの2013年10-11月の公演で歌っていた曲。そのときはバックダンスを従えて独特の世界観を表現しようとしていましたが、今回はソロで。その当時とは違い、お客さんが手拍子をしたり、ケミカルライトを使って応援していたのが印象的でした。
MCでは、CHANDOLが今年からCHANDOLLになって経緯、CHANDOLLがTPD曲を歌う意義、そしてTPD曲を歌った先に描いている愛ちゃんの未来地図について話してくれました。愛ちゃんって、ものごとを戦略的に考えることでできるひとで、またその思いをストレートに語ってくれる。ときにそれは衝突も起こすし、拗ねたり挫けたりすることもあるみたいだけれど、そういう想いの強さは、CHANCEグループの中でもトップクラスだろう。そして、そういう強い想いをもっているひとは潜在能力が高いと私は思っていて、そういう想いがCHANCEグループ全体を押し上げていくことを期待している。
私が徳永曲で一番好きなのは、この曲。この曲をいついも「暗い曲」と言って紹介している「オレンジプラネット」。そういう言い方はやめて欲しいなあ。「オレンジプラネット」は切ない曲ではあっても暗い曲ではない。そして、こういう切ない歌は愛ちゃんの声や歌い方に合っている。
続く「Heartful Candy」はこれまでいつもラストに歌っていた曲。この日のラストは賑やかな曲「Carry out revolution」でした。そして、「またすぐ出てきます」と引っ込んで、本当にすぐに出てきたアンコール。こういうところは師匠譲りか? こまいぬさんは「どうせすぐに出て来なきゃいけないんだろ」と言って引っ込みもしませんからね。
アンコールを歌う前に、ウマ年なので、うまい棒を、お客さんひとりひとりに手渡し。(実はこれ、誰が来ているかをチェックしたり、お客さんの数を数えることが目的だったりして・・・でも、こういうのは純粋に嬉しいですね。)↓
アンコールは「LOVE is the BEAT」でした。この曲も私の好きな曲です。愛ちゃんの今の気持ちにもぴったりくるような歌詞なので。
私はこれまでケミカリライトを振りまわしたり、掛け声を出したりしてアイドルを応援したことがない(某プリキュア歌手さんを観に行ったときも頑なに手拍子だけで応援していた^^)ので、愛ちゃんのライブのときにこういう体験ができるのがとても新鮮で、楽しい経験です。今、徳永愛さんが主戦場として活動しているCHADOLLもお客さんを巻き込んだステージを目指しているようなので、こういう経験が増えていくと楽しいなあ。
物販の時に「ブログでもっと厳しいことも書いてください」と言われたのですが、ダメ出しは不得意なので(←ビビっているわけではありませんよ)、次回3/12(水)にここスタジオCHANCEでライブをするときの改善要望をします。
「椅子席は前2列だけにしましょう!」
今回、後方に申し訳程度にスタンディングで観るスペースを作っていましたが、狭すぎました。3列目以降は椅子はいらないです。お客さんは30代・40代が中心でしょうが、1時間半くらいなら立ってられます。じっくり観たいひとは前2列に、ケミカルライトを振りまわしたり掛け声を出したりしてはちゃぎたいひとは後ろで立って応援する、というスタイルで良いと思います。スタジオCHANCEのステージは低いのでオールスタンディングにすると後ろから見えないかもしれませんが、前2列が着席していれば、いくら愛ちゃんの背が低くても、後ろで立っていてもお顔が観れると思います。スタンディングのスペースを広げた方が、もっと盛り上がると思いますよ。
★今後の徳永愛さん出演情報
【徳永愛】(ソロ)
2/15(土) 森下純菜レギュラーライブ「GENKI!?Vol.66バレンタインSpecial」に出演
日時:2014年2月15日(土)11:50~
場所:TSUTAYA O-Crest(渋谷)
料金:予約3000円 当日3500円(D別500円)
※愛ちゃんのブログでは「O-nest」ですが、「O-Crest」が正しいようです。まあ、お向かいなので間違ってもすぐにリカバリーできますが。
3/12(水) 徳永愛CDデビュー15周年記念ライブ直前!『準備運動って 、大事ですよね!!』バースデーライブ
日時:2014年3月12日(水)19:15~
場所:スタジオCHANCE(赤坂)
料金:未定
※誕生日、何かサプライズしたい/させたいですね!
3/21(金)『CHANDOLLで復活!?TPDダンスサミット2014(仮)』
日時:2014年3月21日(金・祝)昼公演(時間未定)
場所:TAKEOFF 7(渋谷)
料金:未定
※ダンサミ?!
3/21(金)渋谷 TAKEOFF 7 夜公演『徳永愛 CDデビュー15周年記念ライブ』
日時:2014年3月21日(金・祝)夜公演(時間未定)
場所:TAKEOFF 7(渋谷)
料金:未定
※これが本番!すべてはこの時のために。
【CHANDOLL】
1月30日(木)19:30~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月 1日(土)13:00~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月 6日(木)19:30~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月 8日(土)17:00~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月13日(木)19:30~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月15日(土)17:00~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月20日(木)19:30~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月22日(土)17:00~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
2月27日(木)19:30~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
3月 1日(土)17:00~ 浦崎鈴子・新谷さや香・徳永愛・中川雅子
今回ライブイベットのあったスタジオCHANCE(赤坂)で毎週木・土、徳永愛さんがメンバーであるCHANDOLLがライブをしています。木・土はセットリストも違うので、ぜひ両方ともご覧ください。詳しくはCHANCEのウェブサイトまで。→こちら
【CHANCE/CHANDOLL/BOYZ CHANCE】
中村龍史プロデュース 第一回 CHANCEグループ 株主壮快ライブ2014☆「CHANCE到来! こいつぁ春から縁起がいいわい!!」
日時:4月24日(木) 19:00~
出演:CHANCE/CHANDOLL/BOYZ CHANCE
会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(渋谷)
料金:[全席指定] 前売4,000円、当日4,500円(共に1ドリンク代500円別)
チケット先行発売:2/1(土)10:00~2/7(金)18:00までCHANCE OFFICIAL SHOPにて特別先行販売(非売品グッズ付き) ※一般発売は2月22日(土)10:00~
愛ちゃんが所属するCHANDOLLを含んだCHANCE3グループ初の合同公演です。場所にも注目!間違ってお隣に行かないように・・・。詳しくは、こちら。
今回は念願の「ダイエットウーマン」を歌ってもらえたので、ご満悦(^^)。次は愛ちゃんがこのスタジオCHANCEで初めてソロライブをしたときに良かった「Fight!」をリクエストしよう。カバー曲だけどアルバムにも入っているし、良いよね。
小学校に乱入し、次々と児童を殺傷した男は、精神病とみなされていたが、斉藤の指導医・伊勢谷は報道から彼が詐病しているのではないかと疑い、それを新聞記者・門脇に伝える。「精神障害者を装えば無罪になると思ったんでしょう」。
「精神病だから凶悪な事件を起こす」という誤った流れはひとりの医師、ひとりの新聞記者の力で止められるものではない。
その一方で、そういう報道を見て斉藤の担当する患者たちは深く傷つき、世間は彼らに不信の目を向け、冷たい態度を取る。何の根拠もない報道が精神病患者たちの社会復帰を妨げる原因にもなっていく。
医師は患者を退院させたがり、世間はそれを受け容れることを拒否する。患者をずっと病院に閉じ込めておけ、と言わんばかりに。
NO-STyLe-GArden~ノスタルジア~ 第4回公演『イエスタデイ ワンス モア』
公演期間:2014/01/22(水)~01/26(日)
会場:明石スタジオ(高円寺)
演出:エダカヨ
出演:江田かよ、森まどか、西泰平、優志、小野寺志織、羽井佐友、森岡里世、柘植ノゾム、山田航介、永岡裕輝朗、三平恵子、井川花林、加順遥、坂田三太郎、下井顕太郎
NO-STyLe-GArden(ノスタルジア)という演劇ユニットのお芝居を観に高円寺に行ってきました。前回高円寺に行ったのはちょうど一年前。ただし、これまでは音楽を聴きに行っていたので、高円寺でお芝居を観るのは初めて。
↓会場は明石スタジオ。もちろん、初めて。
舞台は、福岡県のとある地方(八女)の小さな新聞屋。そこは、早くに両親を亡くした笑子が何とか切り盛りしている。そしてそこでは、色々な事情を抱え集まってきた若者が、住み込みで働いている。なんだかんだ皆で楽しく暮らしていたある日、皆が、口々に辞めて出て行くと言い出した。何故、皆は辞めると言い出したのか?
まず、新聞屋の日常が描かれ、時間が飛んで、そして皆が辞めると言いだす場面に、そして、時間を遡って、何故、皆が辞めると言いだしたのかを、時間を行ったり来たりしながら描かれる。時間が行ったり来たりするときには「サイン」があるのだけれど、この行ったり来たりがやや物語をスッキリしないものにしてしまっている。まず、皆が辞めると言いだす場面を冒頭に持って行き、一回だけ時間を遡って、あとは時間軸に沿って描いて行った方が、登場人物の心境の変化を含め、スッキリとした物語になったような気がする。
そして、この物語は、笑子の心境の変化がスッポリと抜け落ちてしまっている。楽しく暮らしていた仲間が辞めると言いだし、戸惑いや苦しみがあったはずなのに、また笑子はそこで人生の大きな決断をしたはずなのに、その笑子の心境は全く描かれない。
私の解釈は、笑子はその「場」そのものだった、ということだ。笑子はあの新聞屋の雰囲気そのものだったのではないか、と。そして、笑子はこのカンパニーにおけるエダカヨさんの存在とも重なる。自分が「場」そのものになって、登場人物(役者)たちを包み込むような存在。そういう存在だからこそ、笑子それ自身が表に出てこない。そういう存在を、私たちは「お母さん」と呼ぶのかもしれない。内田新聞店という疑似家族、居心地の良い共同体を支えるのは、一緒にいて安心する、その場の空気そのものの「お母さん」なのだろう。
そんな「お母さん」に包みこまれて、登場人物ひとりひとりの心境はしっかりと描かれている。場面、場面は良い場面が多いし、登場人物の心境の描き方が良い。だから、役者が活き活きと芝居をしているのが伝わってくる。
私がこの芝居を観ようと思ったきっかけは、美咲役の森まどかさんを観たかったからだ。彼女は一時期、中村龍史さんのプロデュースするCHANCEの研修生だった。残念ながら彼女はCHANCEのステージに立つことはなかったけど、最近は精力的にお芝居に出続けているようだし、今回は良い役をもらったようだったので観に行こうと思い立ちました。
一言で言えば、思っていた以上に良かった。発声もしっかりできているし、カツゼツも悪くない。人生で初めて喋っっているであろう八女弁も自分の身体のように言葉を発することができていた。気持ちを表に出して良いところ、気持ちを表に出さずに隠しておかなければならないところのメリハリも効いている。だから、ラスト近く、彼女がぐっとこらえてこらえてそれでも流れ落ちる彼女の涙にやられてしまう。思わずもらい泣きしてしまった。(年を取ったせいか最近は涙腺が緩い。)そして、彼女は寝顔が可愛い(笑)。
この公演も残すところあと1日・2公演。2014/01/26(日) 13:00/17:00
もしお時間があればぜひ。詳しくは、こちら。
高校入学を機に、琵琶湖畔の街・石走にある日出(ひので)本家にやって来た日出涼介。本家は石走にあるお城をまるごと住まいにしており、食事は一流ホテル並み、学校には舟で通うという、なんとも非現実的な生活が彼を待ち受けていた。その跡取りである淡十郎も自分の思いとおりにならないと気が済まないお殿さまぶり。お供扱いの涼介は登校初日から淡十郎に振りまわされる。
そして、日出家には秘密があった。日出家は琵琶湖から特殊な力を授かっており、その力を使って勢力を伸ばしてきたのだ。時に強引な方法で。一方、同じく琵琶湖から特殊な力を授かった一族がいる。その棗(なつめ)家の広海と涼介たちは同じクラスになり、そしてその両家の対立した歴史のとおり、初日から対立するのだが、両家の前にさらに強大な敵が現れて・・・。
序盤に何の説明もなくある言葉が唐突に出てきて、その言葉に違和感を覚えれば、この物語のどんでん返しが予想できたりする。「鹿男あおによし」を読んだことがある読者なら、そのどんでん返しに気付くかもしれない。まあ、っ「しゅららぼん」の意味には笑いましたが。
それでも、この物語には勢いがある。文庫本にすると結構な厚さの本だが、一気に読ませてくれる。
気のいい下っ端やくざ坂本純平は、喧嘩っ早いが女に甘い男前。歌舞伎町ではちょっとした人気者の彼が、対立する組の幹部の命を獲ってこいと命じられた。そのことを一夜をともにした女についもらしてしまったことから、ネット上には忠告や冷やかし、声援が飛び交う。
ここまでの紹介文を読んで、純平がネット上の言葉で考え直したとか、ネット上で好き勝手に言っていたひとたちが団結して純平が殺人を犯すのを阻止しようとする話かと思いきや、さに非ず。結局、ネット上の言葉など、純平の心には届かない。ネット上の言葉など、雑音にすぎない。
純平に限らず、私たちは自分たちの周りの思惑で自分が動かされているのでははないのか、という思いに戸惑うこともあるだろう。でも、自分の世界を動かすのは自分しかいない。例えそれが、引き金を弾くことだったとしても。
凶悪事件を起こした者は精神病を詐病していたことが明らかになるが、マスコミの過熱報道によって、精神障害者を危険視する流れは加速していた。その渦中に、斉藤の担当する患者・小沢が退院する。退院した小沢を待っていたものは、いわれのない差別だった。居場所がないと感じた小沢は追い詰められ、斉藤の目の前で病院の屋上から飛び降りてしまう。「僕は飛べるんだ。」
この問題は、弱者を追い詰めて行く典型例のようにも思える。無理解と非寛容が弱者を社会から排除していく。そして、そういう社会は本当は生き難いもののはずだ。自分がいつ弱者になるかわからないという自覚さえあれば、ひとはそういう社会にはしたくないと思うだろうが、私たちは知らず知らずのうちにそういう可能性を考えないようにしている。
1月19日(日) 恵比寿 JANKENPON
JANKENS
風間惠理さんの歌を聴きに恵比寿JAN KEN PONに行ってきました。そういえば、風間っちの「中退」から、もう1年経つんだなあ。その時も公式サイトではなんのアナウンスもなかったけど(怒)。
↓カンバンをパシャリ。ん?写真がなんか違う(笑)。
風間っちは、この日はJAN KEN PONのハウスバンドであるJANKENSの女性ボーカルとして出演。男性ボーカルのモーリーさんとツイントップでのパフォーマンスでした。JAN KEN PONは5ステージ観ることができます。この日は開始が20時スタートと通常より20分遅れでしたが、終電まで、4ステージを観ることができました。(赤坂で良くお会いするTさんもいらっしゃって、ご一緒させていただきました。)
オールディーズの曲を中心に歌いました。今回、特に良かったのが、3ステージ目で歌った「THE END OF THE WORLD」。こういうメロディが綺麗で切ない歌は風間っちの歌い方がピッタリ合う。また、全然雰囲気は違うけど「Can't take my eyes off you」も聴き逃せない。いやいや、どの曲も聴き逃せない。風間っちの歌、好きだ。
それにしても・・・風間っちのMC、グダグダでした。CHANCEのスタジオライブ(わさび)のときもMCはグタグタでしたが輪をかけてグダグダになってた(笑)。わざびの時は喋りの上手いエリカ様やDANちゃんに助けられたけど。歌っているときは楽しそうで凛として見えるのに喋るとダメダメちゃんになってしまう。そのギャップが風間っちの魅力ではあるけれど。
帰り際に風間っちと話をしていて、「そう言えば、move on!のオルジナルメンバー、みんなCHANCEからいなくなっちゃったね」ということに今さらながら気づき、愕然としました。ヨンエ・千代子・風間のmove on!を知っている自分としてはなんとも切ない。
そうそう、風間っち、前回、せっかく聴きにきてくれたのに、pocozyさんやrecさんとちゃんと話せなかったことを気にしていましたよ。もし都合があえばまた風間っちの歌を聴きにいってあげてくださいな。(何気に業務連絡。)
風間惠理さんの出演情報↓
1月26日(日) 恵比寿 JANKENPON
スイートポップキャンディ 出演
→ 徳永愛さんのライブ後に行くならココ。ただし、ソロでも歌うかも知れませんが、キャンディーズのカバーグループの一員としての出演がメインなので、風間っちの見せ場は少ないかも。
2月24日(月) 赤坂 Bar Carpediem
Stomple Magic Tap & Oldies Live
風間惠理 出演
→ 前回同様、風間っちの歌をじっくり聴けるかも。
リクエストカードに「Saying good-bye」と書いてもらった大バカ者は私です。
【安吾を読む】『教祖の文学』「自分という人間は他にかけがえのない人間であり、死ねばなくなる人間なのだから、自分の人生を精いつぱい、より良く、工夫をこらして生きなければならぬ。」
坂口安吾の小林秀雄評。生きた人間を見ずに人生を鑑賞するかのような小林秀雄を安吾は奥義を極めてしまった教祖になってしまったと言い、ゆえに小林は戦わなくてすむようになったと言う。
「私は死後に愛読されたつてそれは実にただタヨリない話にすぎないですよ、死ねば私は終る。私と共にわが文学も終る。なぜなら私が終るですから。私はそれだけなんだ。」
死んで50年後に理解されようがされなかろうが、自分には関係ない。だから、安吾は言う。
「自分という人間は他にかけがえのない人間であり、死ねばなくなる人間なのだから、自分の人生を精いつぱい、より良く、工夫をこらして生きなければならぬ。人間一般、永遠なる人間、そんなものの肖像によって間に合わせたり、まぎらしたりはできないもので、単純明快、より良く生きるほかに、何物もありやしない。」
私自身、安吾のこの言葉に何度励まされたことか。「自分の人生を精いつぱい、より良く、工夫をこらして生きなければならぬ。」ただ、生きるということはそれだけのことだ。
矢崎存美さんの「食堂つばめ」シリーズ第2弾。「食堂つばめ」は、生と死の境目の街にある。生と死の境目にやってきたひとのために、料理人ノエが、そのひとが生きている世界で好きだった料理を作ってくれる。その味を思い出して、もう一度生きる世界に戻ってくれることを願いながら。
妻オリジナルのつゆだく肉じゃが、老舗洋食屋のマカロニグラタン、おばあちゃんが作ってくれたかき餅、など。ひとそれぞれ、好きだった味があるはず。その味を思い出すことができれば、その大切なひとや大切な時間、大切な空間を恋しくなり、生きていた世界に戻りたくなる。私たちは生きるために食べているが、その食べるということが生きることを思い出させてくれる。
斉藤が担当する統合失調症の患者・小沢は、院内で出会った女性患者に恋をした。彼の退院が近づいたとき、男が小学校に乱入し、児童を次々と殺傷するという事件が起きる。そして、報道はお決まりの「容疑者は精神病院へ入退院を繰り返していました」というフレーズを多用する。
この巻は、医療と報道の在り方について問いかける。
精神病患者が犯罪を起こす確率は、健常者が犯罪を起こす確率よりも低い。それでも、報道も、私たちも「精神病だからこんな凶悪な犯罪を起こしたのだ」という何の根拠もない言葉に納得しようとうする。「彼は私たちとは違うのだ。だからこんな凶悪な犯罪を起こすのだ」と納得したがっている。しかし、ほとんどの犯罪は健常者が起こしている。「私は大丈夫」というなんの根拠もない安心が犯罪を起こす。
DVDで鑑賞。
『ヱヴァンゲリヲン』をリアルタイムに観ていたひとたちには評判の悪い「新劇場版」。「序」はこれまでの『ヱヴァンゲリヲン』を引き継ぎつつ、「破」でこれまでの『ヱヴァンゲリヲン』とは違う物語に進むことを示した。そして、この「Q」では、もはや別物の『ヱヴァンゲリヲン』が展開されていく。これが従来の『ヱヴァンゲリヲン』ファンには受け入れられないらしい。
私は幸運にも(?)『ヱヴァンゲリヲン』をリアルタイムで観ていない。なので、素直に「こういうのもアリだよね」とすんなり受け入れられる。そして、すでにいるはずの観客の期待を裏切る(正確には期待を越える)ことに敢えて挑戦する、という心意気を感じられ、私はこの「新劇場版」が好きである。
ガンダムを作ったトミノさんが、「新訳」と称して作った「Zガンダム」がトミノさんお得意の切った貼った(編集)で、しかも劣化版でしか過ぎなかったことを思うと、庵野監督の「新劇場版」という挑戦は賞賛に値する。
内容は、14年間宇宙空間を漂っていたシンジ君がアスカの手によって帰還。しかし、浦島太郎のシンジ君は失われた14年後の状況が全く理解できず(←これは観客も同じである)、オトナたちに拒絶されながらも、そんな彼に救いの手を差し伸べてきたカヲル君の手を握り返す。差し伸べられたカヲル君の手にかすかな「希望」を見出したシンジ君は、そのかすかな「希望」にしがみつく。そして、状況をさらに悪化させてしまう。
すべてはゲンドウ君の手のひらの上? 私たちはやり直しの効かない世界で、ただ前に進んでいくしかない。
宮台真司、飯田哲也という同世代どうしで語り合う原発、そしてエネルギー問題。
「日本は社会が変わらないことが意識では自明になっている。しかし、現実は激しく変わっていくわけです。それなのに意識の上では変わらないので、現実を変えていくためのルールであるとか指針、原則に無自覚な社会になっている。」
あんな大事故があり、大地や海が汚染されて多くのひとたちが自分の故郷に戻れないという現実を私たちは知っている。しかし、今でも原子力発電所はなくならない。アベさんの「アンダー・コントロール」なんて言葉をこれっぽっちも信じていないくせに、そういう現実から目をそむけ続けている。
イシバさんは整然とデモを行う行為をテロだと呼び、その一方で強行採決という民主主義に対するテロを繰りかえしている。現実を変えていくためのルールは無視である。社会はオカシナ方向には変わりやすいが、正しい方向には変わり難い。
亀渕友香&The Voices of Japan 『Person to Person』発売記念イベント(2014/01/12 たまプラーザ)
日時:'14/01/12(日) 14:00~
場所:たまプラーザテラス ゲートプラザ1F フェスティバルコート
亀渕友香さん率いるゴスペルグループ「The Voices of Japan」(VoJA)さんのCD発売イベントがあると聞き、たまプラーザに行ってきました。
↓カンバンをパシャリ。
↓ステージはこんな感じ。例によって早めに会場に行って、リハの様子も覗き見してました。オープンスペースのイベントはリハの様子が観れるから好きです。
緑の聖衣(ローブ)をまとったVoJAのメンバーが登場。VoJAさんは総勢70名ほどのゴスペルグループですが、この日は14名が出演。
1.Joyful Joyful
2.Realize (アルバム『Person to Person』から)
1曲目は「Joyful Joyful」。映画の影響でしょうが、ゴスペルといえばこの曲、と言えるほどの定番曲ですね。
数少ない男性がメインヴォーカルの曲。(この日出演の14名中男性は3名、男性は全体で70名中10名ほどだそうです。)
人数が少ないせいか、やや心もとなさもありましたが、女声が加わって混声のコーラスになると聴きごたえがあります。
ここで、亀渕友香さんが登場。次の曲紹介で、次の次の曲「O Happy Day」を紹介してしまうお茶目ぶりが、この愛すべきビッグママの魅力なのでしょう。
3.どこまでも行こう (アルバム『Person to Person』から)
4.O Happy Day
「どこまでも行こう」は某タイヤメーカーのCM曲でも有名ですね。ゴズペルから間口を広げて、楽しく歌う、その姿がなによりもVoJAの魅力でしょう。友香さんは「日本でゴスペル好き人口は30万人ほど、これを1億人にしたい」。いくつになってもこういう夢を語れる人、素敵です。こういう夢を語れる人になりたいものです。
「O Happy Day」はあちらこちらで聴いているので、ゴスペルに馴染みの薄い私でも、さすがに耳に馴染みました。
ここで友香さんは退場。この日も友香さん節が楽しかった。「(日本では20歳で成人式だが、)15歳から成人で良い。早く大人になっちゃいなさい」「(4歳児に)お若いわねえ」「(日曜日に神様が赦してくださいますから、)月曜日からまた悪いことしましょう」とか。
5.Happy Together (アルバム『Person to Person』から)
最後はアルバム『Person to Person』の1曲目。歌を通してみんなでハッピーになろう、というまさにVoJAさんの気持ちを表すような歌ですね。そのパフォーマンスからも、みんなで歌を楽しんでほしいという気持ちが溢れています。
イベント後、物販&握手会があり、列に並びました。CDとサインをゲット。↓
なんと、握手会には友香さんもいらっしゃいました。日陰になっているところで、お寒かったでしょうに。恐れ多くも握手させていただき、お声をかけていただきました。「今年もお元気で。」
以前、VoJAのコンサートで友香さんが仰っていた通り、美味しいご飯と笑顔と音楽があれば、楽しく生きていけるものです。2014年もそういう1年にしたいものです。
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そう言えば、「CHANCE」も17名中男性は3名。圧倒的少数派です。「CHANCE」もVoJAさんと構成的には似ていますね、この貴重な男性陣をどう活かすか、男性陣がどのように頑張るか、がVoJAさんも「CHANCE」も共通の課題かもしれません。
「有りあまる金だの土地だのは持たないし、むしろ有りあまる物を持たずにモウケをそっくり生活を豊かにするためにつぎこんでいる国からは、国民の生活以外に盗むものがない。そしてその国民が自ら戦争さえしなければ、その生活は盗まれることがなかろう。」
アベさんとかイシバさんとか、数に物を言わせて、日本を戦争のできる普通の国にしようとしているようだが、彼らは、かって日本が先の世界大戦のような馬鹿げた戦争を仕掛けたということを、そして沖縄を占領され、日本全土を焦土にされ、広島と長崎に原子爆弾を落とされ、そして若者をお国のためとバクダンを積ませて敵艦に突っ込ませ、捕虜になるのを許さず自決を迫ったことを、彼らはスッカリ忘れている。
イシバさんは整然とデモをする行為をテロと呼ぶそうだが、強行採決などという民主主義に対するテロを繰り返しているのはイシバさんのいる自民党ではないか。
「腕力と文明を混同するのがマチガイのもとである。原子バクダンだって鬼がふるまわすカナ棒の程度のもので、本当の文明文化はそれとはまるで違う。めいめいの豊かな生活だけが本当の文明文化というものである。」
イシバさんは原子力発電所を将来、日本が核兵器を持つための安全保障だと思っているようだが、それと引き換えに、数万人のひとたちが故郷から避難せざるをえなくなり、故郷に帰れるメドすら立っていないこの状況は文明国と言えるのか。
「人に無理強いされた憲法だと云うが、拙者は戦争はいたしません、というのはこの一条に限って全く世界一の憲法さ。戦争はキ印がするものにきまっているのだ。」
本当にこの世界一の憲法を変えようなど、キ印のするものにきまっている。この世界一の憲法を変えないようにするためには、この憲法を世界遺産に登録してしまうことだ。世界遺産にしてしまえば、この憲法を変えるなどということができなくなる。憲法を守るための一手はそれかもしれない。
「人間の値打ちというものは、実質的なものだ。天皇という虚名によって、人間そのものの真実の尊敬をうけることはない」
天皇家は日本で随一由緒正しき家系であるかもしれないが、天皇がそれにより尊敬されている、ということではない。天皇が尊敬を集めるのはそういうことではなく、人柄だとか、社会的な実績だとか、そういうものであるべきだ。
3.11の震災の後、被災地の避難所を訪れた時の総理大臣が逃げ出すように避難所を後にしようとした姿を私たちは観た。一方で、被災者ひとりひとりに声をかえられる天皇の姿を私たちは観た。マスメディアのバイアスがかかっているかもしれないが、果たして、どちらが尊敬に値するひとだったのだろうか。
今の天皇は象徴制という仕組みの中で初めて即位された天皇である。そして、今の天皇は象徴制という仕組みの中で、天皇がどうあるべきか、深く考えていらっしゃるのだと私は推察する。だから、あの震災の後の天皇の言葉が私の心に届いたのだ。その時、私は初めて、天皇というものに実質を観たような気がした。
「然し、日本は負けた、日本はなくなった、実際なくなることが大切なのだ。古い島国根性の箱庭細工みたいな日本はなくなり、世界というものの中の日本が生まれてこなければならない。」
日本は戦争に負けたが、天皇制は残った。象徴天皇制という形で。
先の秋の園遊会で、天皇に「直訴」した若い参議院議員がいた。彼は反原発を訴える、いわば社会を変えたいと願う若者であったのだろうが、今やなにも「天皇への直訴」が政治的に有効であると感じていた、ということが私には驚きだった。戦前ならいざ知らず、象徴となった天皇に統治権がないにも関わらず、である。天皇に直訴そればなんとかなるんじゃなないか、という思いを私たちが心のどこかで持ち続ける限り、安吾の言う「世界というものの中の日本」は生まれてこないのではないだろうか。
天皇を名実ともにひとりの人間としたとき、私たちは新しい日本人に、この日本という国が新しい国に生まれ変わるのかもしれない。しかし、私たちはまだまだ変わることができないままでいる。
Kindle本。アニメーション作家・宮崎駿さんの引退について、岡田斗司夫さんの意見をまとめたもの。
宮崎駿さんの恐らく最後の長編アニメ作品になるであろう『風立ちぬ』について、岡田さんはこう言う。
「今まで子供向けだったから伝わったかもしれないことも、そうでなくなって宮崎駿監督が、作家として大人向けに伝えようとする映画を作ってしまったら、普通の人には、なかなか伝わらないものになってしまった。」
「風立ちぬ」は大人な教養を身につけているひとにはわかる暗号がいろいろと詰め込まれているのだけれど、なかなかそれに気づいてもらえない。だから宮崎監督が伝えたいことが伝われない、というような趣旨のことを岡田さんは言っている。
そして、宮崎駿さんの引退の真相は、とどのつまり、
「『辞める!』と言っている宮崎駿監督の大声を、もう誰も止められなくなってしまった」
からだと岡田さんは言う。そして、スタジオジブリでは今も大物たちが宮崎監督と連夜駆け引きが続いていると。そして、日本テレビは宮崎監督に「国民栄誉賞」をと働きかけていると。そして、『風立ちぬ』で主演した庵野監督が宮崎監督の後継者として「ナウシカ2」を作るだろうと。
水中特攻兵器「回天」での作戦に臨んだ渡辺は「回天」の故障により出撃できず帰還。目標を失い、心定まらない渡辺に、軍上層部の人間から心無い言葉が…。
この巻で描かれるのは、沖縄戦、そしてB29の爆撃により焦土と化していく日本。かって私の住んでいた町が爆撃される様も描かれる。私が子どもの頃には、まだ防空壕の跡も残っていたし、不発弾が埋まっているかもしれないから立ち入り禁止という場所もあった。確かに、日本は戦争をしていたのだ。最初から負けることがわかりきっていた戦争を。
渡辺は、兵士として守るべきものを守るために戦うと心に決めて立ち直ろうとするが、その矢先、空爆により守るべき家族を失う。そんな渡辺に待っていたものは、再び「回天」で出撃せよ、との命令だった。負けることがわかりきっている戦争。それでも兵士たちは出撃していく。
『麦子さんと』
監督:吉田恵輔
兄(松田龍平)と二人暮らしの麦子(堀北真希)のもとに、ある日、自分たちを捨てた母親(余 貴美子)が突然舞い戻ってくる。顔も覚えていない母親との生活に戸惑う麦子は母親とどう接してよいかわからない。そして投げつけた一言、「あなたのこと、母親と思ってないから」。それからすぐに、母は帰らぬ人となった。納骨のために母親の故郷へ行った麦子は、それまで知らなかった母親の姿を知ることになる。
人というものはなくすことでしか大切なものに気付かないものだ。火葬場で母を見送ってもなお悲しみや喪失感が沸かなかった麦子が、その感情を取り戻すところでこの映画は終わる。母親がアイドルになることを目指していたように、自分も声優になることを目指している。母親はアイドルになる夢は破れ、結婚して離婚して子供に会いにくることもできず、そんな母親の人生を受け容れる強さを獲得していく様を淡々と映画は描いている。
この映画は丁寧に丁寧に作られている。あの場面はこの場面に繋がっている、ということが手に取るようにわかる。ただ、この丁寧さが仇になってしまっているようにも感じた。伏線というものはここ一番の場面に張っておくもので、やたらめったら張るものではないだろう。もっとお客さんを突き離すことを覚えれば、この映画監督は凄くなっていくような気がする。
主演の堀北真希さんは、いつまでもフレッシュさを持ち続けることができる稀有な女優さんだと思う。こういう「何にもできそうにない女の子」を演じさせると神である。
映画『ゼロ・グラビティ』GRAVITY
監督:アルフォンソ・キュアロン
久々に映画館に映画を観に行きました。しかも、IMAX 3D。普段、3Dでかかっている映画も敢えて2Dで観る(いまだに3D酔いしてしまう)私ですが、この映画は3DしかもIMAXで観るのが良いだろうと判断。
宇宙空間で、予期せぬ事故により、スペースシャトルが大破。船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット(ジョージ・クルーニー)の二人は、宇宙に放り出されてしう。地球との交信手段も断たれ、酸素も少なくなるという絶望的な状況で、彼らは生還することができるのか?
3Dで観て正解。まさに、自分も宇宙空間にいるような錯覚に陥るような体感ができる。衛星軌道上では約90分で地球を一周する(この映画の台詞からそれがわかる)のだが、その地球一周分(90分)のサヴァイヴァル。観ているものもストーン博士のように絶望と戦いながら、まさに息が詰まるような想いでこの映画を観ることになるが、この映画の良いところは、必死に生きようとするストーン博士の姿を時に滑稽に見せていることだ。これもまた一種の「救い」なのかもしれないのだから。
この映画の邦題は、「ゼロ・グラビティ」(無重力)だが、原題は、「グラビティ」(重力)。前半は無重力空間で悪戦苦闘する姿が映し出されるが、ラストはまさに「重力」との戦いである。そして、地上に生きる私たちは「重力」に支配されて生きている。「重力」に刃向って二本の足で立ち上がった時から、人類の「重力」との戦いは始まっている。「生きる」ということは「重力」に押しつぶされないための戦いなのかもしれない。
文庫化されたので再読。
以下、2010年8月19日にこのブログに書いた記事の再録(ダイジェスト)。
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この本は、若き日(20代)のマルクスの著書について、内田樹センセーと、石川康宏センセーの往復書簡をまとめたものである。まず石川センセーが学者らしい解説をひととおり行い、内田センセーがマルクスの「聴かせどころ」をピックアップして現代の日本の若者に訴える、というスタイルを取っている。
『共産党宣言』の有名なフレーズ「万国のプロレタリア団結せよ!」に至るまでの文脈を内田センセーが解説する部分などは、ビビっときます。隣のひとに手を差し伸べて「頑張ろうね」というマルクスが可愛く思えてきます。
というか、こういう文脈でマルクスを読む、というのは内田センセー以外にあまりいないと思いますが。
『ユダヤ人問題によせて』。ナチスにユダヤ人迫害の大義名分を与えてしまったマルクスの著書ですが、内田センセーはマルクスよ、間違ってるぞ、と怒る。
「社会の悪(障害や罪や抑圧)は、ある特殊な社会的領域・特殊な社会的立場に集約されているので、それさえ取り除けば、社会はよくなるというのは、悪いけれど、耳に快い『お話』にすぎません。」@内田樹
この部分は、激しく同意する。私は暴力革命を絶対に肯定しない。上手くいかないことを社会のせいにしてしまうのは、自分がその社会と関わりがあることを否定することだ。
「社会の悪は、社会全体に瀰漫(びまん)している。その社会の全構成員が、それぞれの仕方で、それぞれに社会を『悪くする』動きに加担している。」@内田樹
悪を善に読み替えてみればわかる。社会を良くするも悪くするも、ひとりひとりが”何を為し、どう為すか”次第だ。
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続編はまだかなあ。
2013年を振り返り。今回は本。ちょっとした手違いで2014年の元旦にアップ。あけましておめでとうございます。
『「リベラル保守」宣言』(中島岳志著)
私の「保守」というものに持っているイメージをガラリを変えた本。保守という立場は、「人間の能力には限界がある。人間の理性や知性は万能ではない」ということに立脚する。人間が不完全な存在である以上、社会もまた不完全なまま移り変わっていく。だから、保守は人間の理性や知性を超えたもの、すなわち、歴史的に蓄積されてきた社会的な経験知や集合的価値観を拠り所にする。ゆえに、社会は特定の人間の知性によって運営されるべきではなく、私たちは私たちの社会をちょっとづつより良き方向に導いて行くしかない。この考えに私は合意する。
『評価と贈与の経済学』(内田樹、岡田斗司夫FREEex著)
資本主義が発達しすぎた社会は、「お金さえ持っていればなんとか生き延びられる」社会だと言えるかもしれない。しかし、3.11以降、私たちは「お金さえ持っていればなんとか生き延びられる」社会が崩れていっていることを薄々気づいている。これからは「人柄」こそが評価される時代になっていく。「人柄」の良いひとを中心に、お互いに助け合い、生き延びることができる社会が形成されていくのかもしれない。
『超訳 論語』(安冨歩著)
安冨さんの「超訳」は、「学習回路」を常に開いて生きなさい、という「論語」である。「学んで時にこれを習う、亦たよろこばしからずや。」で始まる「論語」は、「学習」の喜びに人間の尊厳と人間社会の秩序の形成の基礎であり、「学習回路」を常に開いている状態が「仁」であるとする。逆に「悪」とは「学習回路」が閉じた状態であるとする。「学習回路」が開いている状態であればものごとを良い方向に良い方向に導くことができるが、「学習回路」が閉じている状態であればものごとを悪い方向に悪い方向に導いてしまう。「学習回路」を常に開いていたいものだ。
『特攻の島 5』(佐藤秀峰作)
特攻兵器・人間魚雷「回天」に搭乗した若者を描く物語の第5巻。回天の搭乗員の渡辺は、その出撃間際の故障により回天に閉じ込められたまま出撃できなくなる。図らずも生き残った渡辺を待ち受けているのは上官の心ない言葉だった。人間は致死率100%の生き物には違いないけれども、死ぬために、死ぬのを目的に生きている、というひとはいないだろう。だからこそ、「死ぬために生きた」特攻隊員が「生きる」この物語は私の心に突き刺さる。
『ウェブで政治を動かす!』(津田大介著)
津田さんが政治にもの言うようになったのは、「政治や政策に無関心でいては、自分の好きなものがいつか誰かの勝手な都合で変容させられてしまう。」と気づいたからだと言う。ウェブもデモと同じような効力がある。ソーシャルメディアでの書き込みは、「こんなことを考えている国民がこれだけいるのだぞ」という意思表明であり、政治家たちもそれを無視することができなくなっている。もっとも、デモをテロだと言ってるアホな政治家もいるらしいが。
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