『食堂つばめ 2 明日へのピクニック』(矢崎存美著)私たちは生きるために食べているが、食べるということは生きるということを思い出させてくれる。
矢崎存美さんの「食堂つばめ」シリーズ第2弾。「食堂つばめ」は、生と死の境目の街にある。生と死の境目にやってきたひとのために、料理人ノエが、そのひとが生きている世界で好きだった料理を作ってくれる。その味を思い出して、もう一度生きる世界に戻ってくれることを願いながら。
妻オリジナルのつゆだく肉じゃが、老舗洋食屋のマカロニグラタン、おばあちゃんが作ってくれたかき餅、など。ひとそれぞれ、好きだった味があるはず。その味を思い出すことができれば、その大切なひとや大切な時間、大切な空間を恋しくなり、生きていた世界に戻りたくなる。私たちは生きるために食べているが、その食べるということが生きることを思い出させてくれる。
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