『ブラックジャックによろしく 12』(佐藤秀峰作)いわれのない差別が彼の居場所を奪っていく。
凶悪事件を起こした者は精神病を詐病していたことが明らかになるが、マスコミの過熱報道によって、精神障害者を危険視する流れは加速していた。その渦中に、斉藤の担当する患者・小沢が退院する。退院した小沢を待っていたものは、いわれのない差別だった。居場所がないと感じた小沢は追い詰められ、斉藤の目の前で病院の屋上から飛び降りてしまう。「僕は飛べるんだ。」
この問題は、弱者を追い詰めて行く典型例のようにも思える。無理解と非寛容が弱者を社会から排除していく。そして、そういう社会は本当は生き難いもののはずだ。自分がいつ弱者になるかわからないという自覚さえあれば、ひとはそういう社会にはしたくないと思うだろうが、私たちは知らず知らずのうちにそういう可能性を考えないようにしている。
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