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2013年12月 4日 (水)

『三国志 第九巻』(宮城谷昌光著)後の物語によって諸葛亮は過大評価されている。

「出師の表」を書き魏討伐の軍を発した諸葛亮だが、自らが重要な役割に登用した馬謖の失敗で惨敗する。諸葛亮は目をかけていた馬謖を誅してしまう。「泣いて馬謖を斬る」と言われるエピソードだが、宮城谷さんの目は、それを諸葛亮の重大な失敗だとみる。

私が三国志の物語に初めて触れたのは社会に出る前だが、社会に出たあとでこのエピソードに触れると、馬謖を誅す諸葛亮の姿は、責任を部下に押しつけ、部下を切り捨てる上司の姿に被る。こういう上司にロクなヤツはいない。失敗した部下をどう処するか、は顕著に上司の力量が表れる局面だ。重大な失敗だとは言え、一度の失敗だけで部下を切り捨てて行けば、部下は育たない。蜀にように人材の乏しい国でそれをすることは致命的である。

また、宮城谷さんは諸葛亮の戦略にも疑問を呈す。機を観て動けず、大義も示せず、失敗を恐れリスクをとらない諸葛亮は軍事的には凡庸であった。後の物語によって諸葛亮は過大評価されている。諸葛亮の死後、裏切り者とされて処された魏延の方がずっと軍事的戦略において優れていた。その魏延を用いず、馬謖を重用した諸葛亮は人を観る目もなかった、ということである。

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