【安吾を読む】『日本精神』日本精神は伝統の中にあるのではなく、いま・ここにある私たちが作っていくものである。
日本精神とは何ぞや、そしてそれが小説にどういう影響を与えているのか、について安吾が語っている。
「文学にも日本精神にかえれという声があるが特に日本精神を意識することは危険である。恰も小説を書くに当って特に自己を意識することが甚だ危険であることと同然である。」
私たちが表現するものの中には否応なく日本精神が潜んでいるのだから、とりたてて意識することはない。むしろ意識することが危険であると安吾は言う。
「外形的に西洋かぶれをすることも自然の流れであつてみればやがてそこにも日本精神の必然的な自律性が加わるだろう。」
日本精神は伝統の中にあるのではなく、いま・ここにある私たちが作っていくものである、という安吾の考えは一貫している。
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