『岡田斗司夫の「風立ちぬ」を語る2~本当は残酷で恐ろしくて美しい「風立ちぬ」~』(岡田斗司夫)犠牲の上に成立しているから、せめて綺麗な夢を見せましょう。メデタシ、メデタシ?
kindle本。宮崎駿監督の『風立ちぬ』を宮崎作品の最高傑作と言う岡田斗司夫さんは、この物語はみんなが思っているような美しい物語ではないよ、と言う。その続編なのだが、ほとんど、前の巻で言い尽くした感があり、この巻はほとんど補足のようになっている。聞き手のリアクションもワンパターンで、岡田さんの話を引きだしているとも言い難い。
岡田さんは、堀越二郎さんもひどいひとだったが、宮崎駿さんもひどい人だよ、と言っている。宮崎監督は「教養がなかったり、美しいモノを作るジャマをするような人達には興味がない」ひとだし、「文化・文明というのは犠牲になるひとがいるから成り立つ」と言っていると。
しかし、第1巻の岡田さんの言葉を借りれば、「犠牲の上に成立しているから、せめて綺麗な夢を見せましょう」ということであり、「夢に魅入られて人達は呪われているかもしれないけれど、彼らの夢のお陰で日本人はひととき幸せになりました」と。
私たちは、それにメデタシ、メデタシ、という結びの言葉を口にして良いものかどうか、複雑な気持ちになる。
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