『占星術殺人事件 改訂完全版』(島田荘司著)デビュー作にして最高傑作。その職人技のような改訂完全版。
名探偵・御手洗潔が初登場する、島田荘司のデビュー作。その「改訂完全版」。著者は若い頃の作品の改訂版を何度か出している。若い頃の作品は、著者が今読み返すと、いろいろ不満点や改善点が出てくるものかもしれない。しかし、『都市のトパーズ』のように改悪することもあるから要注意だ。
この『占星術殺人事件』は、御手洗シリーズの中では恐らく、デビュー作にして最高傑作だろう。アゾート計画に始まり、何故6人の若い女性が行方不明となり殺されてバラバラにされて遺棄されたのか、その遺棄された場所や遺棄の仕方、そして動きだすアゾート。完璧だ。その完璧な物語をより完璧なものにせんと改訂する。島田荘司のこだわりも強いのだろう。ここまでくれば職人技と言えるかもしれない。
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