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2013年9月 3日 (火)

『わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (碓氷優佳シリーズ)』(石持浅海著)碓氷優佳とは究極の無である。

表紙のイラストを見ると、ラノベと見間違えてしまうが、碓氷優佳シリーズの最新作。『扉は閉ざされたまま』以前の、高校生の頃の碓氷優佳を描いている。

新学期、横浜にある女子高の特進クラス。上杉小春は碓氷優佳という美少女に出会う。やがて2人は親友に―。そして、教室の中で起こる様々な不可解な出来事を碓氷優佳は持前の推理力で解き明かしていく。

『扉は閉ざされたまま』以降の碓氷優佳を知っている読者にとっては、彼女の高校時代というものは興味深く、また彼女の推理力に小春のように舌を巻くだろうし、また、『扉は閉ざされたまま』以降の碓氷優佳を知っている読者にとっては、この短編集を読むと、『扉は閉ざされたまま』が読みたくなるに違いない。『扉は閉ざされたまま』は、碓氷優佳と「切れ者」とのその後を描いているからだ。

しかし、碓氷優佳は最後の最後に上杉小春に、彼女が「他人に全く興味を示さない」人間であることを看破されてしまう。碓氷優佳の推理力をもってすれば、彼女が上杉小春にそのように看破されたことを見抜けないことはないように思えてしまうが、彼女の推理力は彼女自身に向けられないようにも思える。

つまりは、他人への無関心は自分への無関心である。彼女は孤独かと問われればそうではない。他人に関心のない人間は自分にも関心がない。つまり碓氷優佳とは究極の無である。ただその周りの人間が翻弄されるだけで、その中心は、無なのだ。

その萌芽がすでに高校生のときには出来上がっていることが興味深い。さらに遡って碓氷優佳の中学生の頃や小学生の頃の物語も読んでみたい気がする。


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