『解錠師』(スティーヴ・ハミルトン著,越前敏弥訳)少年の閉ざされた鍵を開けるものは、その少女の面影だった。
マイクは8歳の時にある出来事から言葉を失ってしまうが、彼には絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能があった。マイクはつまらないことから家宅に不法侵入し警察に捕まってしまうが、その家でアメリアという少女と出会う。マイクはそのどんな錠も開くことが出来る才能を利用され、やがて芸術的腕前を持つプロの金庫破り(解錠師)となっていく。
アメリアを救いたい、その一心で手を染めてしまった犯罪、しかし彼はそこから抜け出せず、ずるずると犯罪を繰り返していく。しかし、そんな彼を救いだすものもまた、アメリアという愛する少女の存在だった。
開かないものを鍵を空けることに天才的な才能をもつ少年の閉ざされた鍵を開けるものは、その少女の面影だった。
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