『カンブリア宮殿 村上龍×経済人 社長の金言2』(村上龍著,テレビ東京報道局編)この本を読んで「隣の社長は良いこと言うなあ」と感心していては全然ダメダメ。
「社長の金言」―村上龍の著作のタイトルとしては最高レベルにセンスがない本ですね。村上龍がインタビュアーを勤めるテレビ東京の経済番組『カンブリア宮殿』から会社の経営者たちとの会話のダイジェストを収録したものなので、仕方ないのかもしれませんが。
この本は、この本を読んで「隣の社長は良いこと言うなあ」と感心していては全然ダメダメなのだ、ということをまず、肝に銘じておくことです。。
この本の中で、タビオという靴下屋さんの会長である越智直正さんがこう言っています。
「理想や夢がないやつは、なんぼ知識があったって何もできません。」
ビジネス書や自己啓発本の類を何十冊、何百冊読めば、知識はつくかもしれません。しかし、そのインプットをアウトプットに変えることができない限り、そのインプットは全くの無駄です。いやいや、今は知識を蓄積しているだけで、やがてはでっかいアウトプットを生みだしてやると思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、知識というものは溜めこめば溜めこむほど、それに縛られて身動きがとれなくなることもあります。
では、アウトプットとはなんでしょう。こうやって書評をブログに載せることでしょうか。そして、自分の書評をいずれは電子書籍として売り出すことでしょうか。しかし、何の実績も世間的な評価もないひとの書いた書評にどれほどのひとが耳を傾けてくれるでしょうか。(自戒を込めて言っています。)
アウトプットはやはり自分の生活の中やビジネスの中で表現していかなくてはならないものだと思います。自分の生活や仕事のやり方を改善する。それこそがやるべきアウトプットです。なので、この本を読んで「隣の社長は良いこと言うなあ」と感心しているレベルではダメダメで、この本の中から1つでも2つでも自分の生活の中やビジネスの中で改善できるヒントを得られたら、それを実践してみることです。
そして、そういう実践につながるようなヒントがまったく得られなかった場合は、いくら世に知られた経営者の言葉であろうが、有名作家が聴き手役になっていようが、それを「金言」として崇め奉るのではなく、とっととこの本を古本屋の買取カウンターにもっていくべきです。
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