『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン(6)』(小路幸也著)サチさんの一言は、心に沁みる。
東京下町で老舗古書店“東京バンドワゴン”を営む四世代の大家族、堀田家の物語の第6弾。やっぱり愛に溢れていた。
この物語の語り部は、勘一の妻で、すでにこの世を去ったサチ。サチさんの一言は、心に沁みる。
「しっかりと歩いて行くことですよ。周りの人に支えられてでも、それが恥ずかしくても、自分が情けなくても、歩いていかなきゃならんのです。」
自立=ひとりでも生きていけること、と私たちは教えられてきたような気がする。でも、ひとはひとりで生きていけるほど強くもないし、大なり小なり過ちも犯すし、そういう自分が情けなく恥ずかしくもある。そういうひとたちがお互いに支え合うことで、ひとは歩いていける、生きていける。この大家族の物語は、そういう優しさでできている。
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