『ラーメン屋絨毯爆撃 山手線各駅停車編』(元木一朗著)「ステマ、しがらみ一切なし」、そういうラーメン屋紹介本を待っていた!
Kindle端末を手に入れて、初めて買った有料書籍がこれ。
「インチキ数字」研究家(ほぼ自称)にしてラーメン評論家の元木一朗さんが、山手線各駅に1件、その駅に降りたらここでラーメンを食え、というラーメン屋を紹介している。
元木さんはインターネットテレビの「日の出テレビ」に週2回の番組を持たれていて、その火曜日にCHANCEの浦崎鈴子さんがアシスタント(設定上はスズちゃんが総統で元木さんが参謀)として出演していることから私は元木さんを知った。
ある日、池袋でラーメンを食べたとき、そう言えば、元木さんのブログにラーメンの評価があったなあと思いだし、調べてみたら私が食べたラーメン屋の評価が載っていた。お店の名前を言うのは差し控えるけれど、私はスープはまろやかで美味しいんだけどこのスープにこの細くて真っすぐな麺は合わないよなあ、くらいの感想しかもてなかったのだが、元木さんは私が思っていた感想をもっと的確に表現されていてビックリしたのである。この本でも、スープ、麺、チャーシューその他の食材からお店の雰囲気まできちんと評価する姿勢がうかがえる。文末には元木さんがつけた「適正価格」(かなり評点が辛い)も載せている。食べる価値あり・なしをズバリと言っているようなものだ。
一般的にラーメン屋紹介本は、評論家の個人的な付き合いや様々なしがらみ、出版社の意向などにより、話題づくりを優先して必ずしも美味しいラーメン屋を紹介しているとは限らないことがある。(私も何度騙されたことか!)しかし、インディペンデントなラーメン評論家である元木さんは「ステマ、しがらみ一切なし」と公言して憚らない。知人のお店を紹介するときにはそのこともきちんと公言して、この本が「ステマ、しがらみ一切なし」であることを担保されている。そういう姿勢は信用に値する。
あとがきに掲載店選びの難しさも述べられているが、山手線各駅、全部網羅してその駅の代表的なラーメン屋を挙げていくのは大変な作業だったに違いない(ちなみに一番、ラーメン屋選びに苦労したのはそもそもラーメン屋自体が少ない大崎駅だそうです)。しかし、そのおかげで、この本はなかなか使えるガイドブックになっている。Google Mapsともリンクが貼られているので、食事時に山手線の駅の近くにいるときにはとてもありがたい。
※実際にこの本で紹介されているお店をピンポイントでバグゲキ中。目黒、恵比寿、渋谷、巣鴨、駒込、秋葉原のお店をバクゲキ済み。いつか山手線を一周してみたい。
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