『残される者たちへ』(小路幸也著)「団地」を舞台にしたファンタジー。
かって団地で暮らしていた準一もとに同窓会の誘いの葉書が届く。その同窓会で彼は明人という同じ団地に住んでいた親友と再会するのだが、準一には明人の記憶が全くなかった。なぜ、親友と過ごした日の記憶がないのか、準一はかって同じ団地に住んでいた未香とともにその謎を解こうとする。
これは「団地」を舞台にしたファンタジーだ。高度成長とともに次々と建設され、多くの家族がそこに暮らした団地も、今やそこに暮らすひとも少なくなり、老朽化が進んでいる。しかし、そこに暮らす家族の風景を残したい、という想いが、おの物語の底辺に流れている。
ただ、私はどうも、このテのファンタジーが苦手なんだよな。親友の記憶だけがない、という純粋なミステリーだったら良かったのだけれど。
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