『本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか』(佐々木閑著)まずは自分を確立すること。それが周りのひとのためになる。
いま、心のよりどころを仏教、特に原始仏教に注目が集まっている、のだそうだ。釈迦が始めた頃の仏教について、著者が1日6時限で行った講義をまとめたのがこの本。
著者は、まず、仏教が生まれた当時のインドの背景から語り始める。血筋や生まれだけを重視するカースト制度の否定から仏教が生まれた。仏教の根源にあるのは、ひとは生まれながらにして平等であり、その後そのひとが幸せになるかどうかは、そのひとの努力次第という考え、すなわち、自分の救済者は自分自身である、という考えだ。
「生きているのが困難なくらいの自分の心の苦しみをどうやって取り除くかということを、自分で考え、自分で方法を見つけ、自分で治療していった釈迦の足跡。それが仏教の出発点なのです。」
まずは自分を確立すること。それが周りのひとのためになる。自分を救済することが他人を救済することに繋がる。だから、他人に救済されることをアテにしてはいけないし、ましてや他人に救済してもらおうなんて考えてはいけない、ということなのだろう。
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