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2013年4月 9日 (火)

『写楽 閉じた国の幻(上)』(島田荘司著)興味深い推理だが、残念なのは、タイトルでネタバレしていること。

写楽とは一体何者だったのか? 江戸時代最大の謎の1つであり、手がかりも少ないこのテーマを解き明かすことはタンテイの仕事である。そして、その謎に新本格の大御所である島田荘司が挑む。もともとこのアイディアは長い間温めていたようだ。満を持しての作品ともいえる。

物語は、北斎研究者である元大学講師・佐藤貞三がその息子を回転ドア事故で失うことから始まる。遺族側が始めた裁判により、貞三は社会的に抹殺されかかり、その窮地から脱するべく、貞三は写楽とはいったい何者だったのか、という謎を追うことになる。事故調査の協力者でミステリアスな美女・片桐との出会いにより、写楽とはいったい何者だったのか、という謎に迫っていく。

回転ドア事故のエピソードは、著者が大好きな、日本のモノづくりや権威をかさにきる日本人の姿、日本の理不尽なルール等の批判にうんざりするのだけれど、これもまた重要な伏線になっているので、我慢して読み進めることをお薦めする。これを乗り切ると物語は一気に興味深いものになる。

写楽とはいったい何者だったのか?という謎は、蔦谷重三郎をはじめとする関係者が示し合わせたとうに写楽について口を閉ざしたということと、誰も自分が写楽であると名乗り出ない、ということにより、謎が深まっている。

しかし、著者が写楽をどういう人物と特定したか、は、残念ながらタイトルから想像がついてしまう。著者は写楽を口に出すのが憚られる人物と繰り返し言うのだが、そういう人物は、鎖国をしていた江戸時代において京の帝と江戸の上様だけじゃない、ということに気づけば、想像に難くない。



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