東京芸術劇場リニューアル記念『マシーン日記』 狂った世界の中で、ドロシーは、ちょっとだけ幸福だったのか?
東京芸術劇場リニューアル記念『マシーン日記』
2013年3月14日(木)~3月31日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト
演出:松尾スズキ
出演:鈴木杏、少路勇介、オクイシュージ、峯村リエ
東京芸術劇場リニューアル記念のラストを飾るのは、松尾スズキ作・演出の『マシーン日記』。これまで、ケイコは片桐はいりがずっと演じてきたそうだが、今回はキャストを総入れ替え。ケイコは峯村リエが演じている。
舞台は小さな町工場。サチコ(鈴木杏)を強姦した弟ミチオ(少路勇介)は兄アキトシ(オクイシュージ)によって小さなプレハブ小屋に監禁されている。しかも、アキトシはサチコを妻としている。そこに、サチコの元担任教師のケイコ(峯村リエ)が工場に働きにやってくる。
この物語は、工場とミチオが監禁されている小屋で展開する。全く4人だけの閉じた世界。そして、それぞれみんなが、どこかイビツで、狂っている。抜け出そうと思えば、簡単に抜け出すことができそうなものだが、彼らは、その閉じた世界の中に敢えて留まっている。そして、ケイコはミチオに懇願する。「命令して!」と。
ベルトコンベアが動き続けるこの工場は、サラリーマン社会の縮図なのかもしれない。その狂った世界の中で、ドロシーは、ちょっとだけ幸福だったのか? 自分がドロシーであると実感できた瞬間、サチコは幸福だったのかもしれない。例え、それが一瞬であったとしても。
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