『世界認識の方法』(吉本隆明著) 吉本隆明・中級編。フーコーとの対談は間合いを測って、間合いを詰め切れなかった印象。
この本のウリはフーコーとの対談。しかし、対談というより、間合いを測って、間合いを詰め切れなかった印象がある。といっても、私には二人の主張がチンプンカンプンで脱落しそうですが、そういう緊張感だけは伝わりました。
この本の裏テーマは「マルクス」だろう。私たちはマルクス主義およびそれに基づく国家のありかたの失敗を目の当たりにし、マルクスの思想までダメなものと思いがちだが、マルクス後に発生したマルクス主義およびそれに基づく国家のありかたと、マルクスそのひとの思想とは似て非なるものである。
ただし、マルクスの思想も、19世紀のヨーロッパという世界を見抜く思想であり、21世紀の世界を見抜いた思想ではない。マルクスとの付き合い方は難しい。
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