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2013年1月12日 (土)

『「会津の悲劇」に異議あり【日本一のサムライたちはなぜ自滅したのか】』(八幡和郎著)会津は負けた。まずそれを見つめ直そう。

2013年のNHK大河ドラマの主人公は、会津出身の新島八重である。そして、会津といえば幕末に賊軍の汚名を着せられ、戊辰戦争では白虎隊という若者の集団自決もあり、明治新政府からも冷遇された、という「会津の悲劇」が繰り返し語られる。しかし、本当にそうなのだろうか。「会津の悲劇」を語るのは会津の郷土史家たちであり、会津に同情的な歴史物語を描いた作家たちだ。それが公正なものなのか、虚実織り交ぜたものなのか、外部の目で観る必要があるのではないか。

著者は、できるだけフェアな外部の眼から「会津は何故負けたのか」を解き明かそうとしている。多少、言いがかり的な部分も感じたが、「負けに負けの不思議なし」である。個としてはすばらしい人材をかかえていた会津が集団として機能しなかったがために、会津は負ける方に負ける方に突っ走っていく。それを食い止めようとした人材もいたが、そういう人たちは抹殺されたり、そういう動きも時機を逸してしまっていた。だから、負けた。まず、負けを認めてはどうか。

日本人は、そもそも判官贔屓である。源義経は江戸時代から人気があり、何故人気があるかと言えば、あれだけ活躍した英雄でありながら、兄に疎まれ滅ぼされてしまう、という悲劇の英雄だからだ。そして、第二次世界大戦の敗北がトラウマになっているのか、日本人は、負けていくものたちを美化する傾向が強くなってしまったのではないか。負けたのは恥であり、負けたのを認めたくないのかもしれない。負けたのを認めてしまうと、先の世界大戦で戦死した者たちに申し訳ないという気持ちを隠せなくなってしまうし、それは天皇の戦争責任というところにまで波及しかねない。だから、負けた、という事実と向き合うことを避け続けている。

しかし、昭和天皇の崩御とともにそんな時代「昭和」は終わった。私たちは、「負け」から学ぶべきだろう。何故負けたのか、その事実に向き合うことが次に負けないようにするための第一歩だ。私はそれが、日本のため、いや、会津地方を含む東北のためになるのではないかと思う。「昭和」の成功を支えてきたのは紛れもなく、東北と東北の人たちである。東北の労働力と、東北で作られてきた電力が日本の、いや東京の繁栄を支えてきた。そして、その繁栄の犠牲となったのが、東北のひとたちであり、東北の地だ。それは2011年の津波と原子力発電所の事故でも明らかだろう。

被災地である東北、もっといえば会津を含む福島から、日本の現状を打破するような動きが出てきても良いのではないか。東京と大阪が維新などと謳っているが、平成の維新を起こすのは東北ではないか。



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コメント

会津が負けたのは、非武士階級の裏切りにあったからです。
会津は武士至上主義の藩なので、非武士階級にとって、住み良い場所ではありませんでした。
会津の非武士階級者は、什の掟に染まっていなかったので、危機的状況に瀕した際、冷静な判断力を失うことがなかったのも、決して無関係ではないと思います。
逆に言えば、什の掟に縛られた会津武士の大半は、非武士階級者の裏切りを、想定出来なかったからこそ、悲劇を回避出来なかったように思います。

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