『倭人伝、古事記の正体 卑弥呼と古代王権のルーツ』(足立倫行著)学者と読者をつなぐ架け橋のような仕事(ルポ)。
『倭人伝、古事記の正体 卑弥呼と古代王権のルーツ』(足立倫行著)学者と読者をつなぐ架け橋のような仕事(ルポ)。
『激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで』に続く、古代史を訪ねる旅ルポの第二弾。考古学者の森浩一さんのインタビューに始まり、倭人伝のルートを辿ることからその旅が始まる。対馬から北九州へ。邪馬台国は九州にあったのか?実際に史跡を観て回り、郷土の歴史家や考古学者たちの言葉に耳を傾ける。思いかけず多かったのが、邪馬台国九州説を否定する北九州の学者たち。郷土愛に目を曇らせない態度はすばらしいと思う。
後半は、古事記をめぐる旅。古事記において重要な位置を占める出雲(島根県)と日向(宮崎県)をメインに旅をしている。
私も古代史に興味があってあっちこっち行ってみたいとは思うけれど、なかなかそういうわけにはいかない。足立さんの仕事は、歴史家、考古学者と古代史に興味があるひとたちをつなぐ架け橋のようなものだと思う。これからも足立さんのルポを楽しみにしたい。
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