劇団太陽マジック『ウェディング・ドレス』 誰かが誰かのために一所懸命になれば、嘘も真になる。
劇団太陽マジック第2回公演『ウェディング・ドレス』
2012/11/08(木) ~ 2012/11/11(日)
ウッディシアター中目黒
出演:鈴木ちさ、諏訪井モニカ、祖父江桂子、竹尾一真、田中完、谷+1。、土屋史子、堤匡孝、中村涼子、藤枝直之、堀田勝、山口景子、若井佑
演出:西条みつとし
ウッディシアター中目黒に、劇団太陽マジック『ウェディング・ドレス』を観に行きました。CHANCE研修生の鈴木ちささんが出演するというのが理由でしたが、思わぬ拾いものをしました。
↓恒例のカンバン・・・というより、ウッディシアターの入り口をパシャリ。(入口が判りにくく、一回通り過ぎてしまったので。)
客席もギチギチに詰め込まれてましたが、観たのが11/11の千秋楽の回だったこともあり、客席は満席でした。
舞台は結婚式場の控室。その一室にまだウェディング・ドレスを着ていない花嫁にその兄夫婦と花嫁の父、ウェディング・プランナーたち、テレビクルー。どうやら花嫁の父は娘の婚約者に1度も会ったことがなく、結婚にも反対しているらしい。そして、何故か壁に頭をつけたまま動かない男女。どうしてこういう状況が生まれたのか、時計の針を巻き戻して物語が始まる。
この状況はウェディング・プランナーのちょっとしたミスから始まる。同僚のウェディング・プランナーがそのミスをあの手この手でなんとか挽回しようとするのだけれど、その意に反してありえない方向にありえない方向に展開していく。そして、冒頭の場面に戻るのだけれど、どうしてこういう状況が出来上がってしまったのか、観客のみぞ知り、舞台上の人物が誰一人としてこの状況を正確に把握できていない。誰もがちょっとづつ勘違いしていたり、謎のまま頭が混乱した状況にある。この状況が面白い。
そして、時計の針がさらに進む。そうすると、すべてを知っていたはずの観客が、どんでん返しをくらうのだ! このところの展開の仕方が見事! 私も最初から怪しい人物がいるなあ、と思って観ていたのだが、それすらミスリードを誘う仕掛けだったとは。見事にウラをかかれました。
展開のテンポがよく、とにかく面白く笑える。それでいて、泣かされる。こんなに笑ったり泣いたりする舞台は久しぶりだった。本当に涙が出た。
この舞台は、「善」で溢れていた。誰かが誰かのために一所懸命で、そして、「誰かのために一所懸命ふるまえば、それは自分に返ってくる」。だから、この舞台は幸せな空間になる。そして、嘘から出たものも、真になって、最後に現れる。天使のような可愛い姿をして。
お目当てで観にいった鈴木ちささん。スタジオCHANCEで歌ったり踊ったりしているのを何度か観させていただいていますが、舞台に立つ彼女はまるで別人。スタジオCHANCEで一度、芝居をしたときに女優さんの顔になっていたので、楽しみにしていましたが、改めて女優さんだなあ、と思いました。
CHANCEを初めて観たとき、いきなりお芝居が始まって面喰った(←穏やかな表現)ことがありましたが、CHANCEにも演技ができるメンバーが増えてきたので、CHANCEはもっと芝居をすれば良いのに、と思いますね。
正直、太陽マジックという劇団も、西条みつとしさんと言う演出・脚本家も知らなかったのですが、期待以上に面白かった! 今年はすでに20本以上演劇を観ましたが、この舞台は間違いなく、私の2012年のベスト3に入ります。この劇団と脚本家さんは覚えておこう。そして、また機会があれば観に行こうと思います。
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