映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』 最後の最後に見事な「うっちゃり」を見せてくれた映画。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』
監督:本広克行
公開から約1か月経ったので、そろそろ観客が少なくなっているだろうと思って観に行ったのだが、まだまだ大盛況でした。テレビ放送が1997年だったので、15年。いろいろな世代に愛されたドラマだということなのだろう。この映画はその最終章 THE FINAL。
物語の作りはこれまでと同じく、最初はドタバタドタバタから始まって、1本の線に収れんしていく。現場と組織、その対立からギリギリの「正しいこと」を実践しようとする現場の刑事・青島(織田裕二)と官僚・室井(柳葉敏郎)の姿、絆が物語の縦軸。まだまだ恋愛ドラマが主流であった1997年に放送されたおちゃらけた警察ドラマがここまで長く支持され続けたのは、その軸がブレなかったからなのだろう。
このTHE FINALはその集大成と言える。組織を改革するために、それを強引に急進的に進めようとする勢力によって、青島と室井は土俵際まで追い込まれるが、見事にうっちゃる。
最近は、組織が変わらないのをもどかしい、ブチ壊せ、という勢力に支持が集まりつつある。しかし、ひとはそんなに便利に変われるものではない。組織も然り。そんなに便利に変われるものではない組織は、地道にじっくりと変えていくしかない。
この物語は、最後に警察という組織が変わっていくことを暗示させてはいるけれども、それを新たな希望と思うのは早計だ。組織はそんなに簡単には変わりはしない。それでも、地道にじっくりと変えていくしかない。
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