『WILL』(本多孝好著) WILLは、未来形、そして、意志や願いや決意を表す言葉でもある。自分自身に祝福を。
ベストセラー『MOMENT』の姉妹編。この物語の主人公は、『MOMENT』の主人公・神田の幼馴染で葬儀屋の森野。
18歳のときに両親を事故で亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野は、古株の竹井と新人の桑田、2人の従業員とともに、寂れた商店街の片隅で葬儀屋を経営している。その森野のもとに、葬儀を請け負った依頼者たちによって、死者にまつわる不思議な話が持ち込まれる。
森野はそれらの謎を解き明かすことが、死者に対する弔いとなり、同時に遺族への慰みになると捉えている。それらは、葬儀屋のアフターサービスという域を越えているが、それを見逃して通り過ぎることができない、というのが森野という人間なのだ。
WILLは、未来形、そして、意志や願いや決意を表す言葉でもある。最後に森野が自分自身に祝福を与えるののが印象に残る。
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