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2012年8月15日 (水)

『移行期的乱世の思考』(平川克美著) 「プランAしかない。お前はそれに賛成するのか、反対するのか」という問題の立て方では、八方塞がりの状況を打破できない。

今の日本は、八方ふさがりのように思える。それは昨年の震災と原子力発電所の事故によって顕著化したようでもある。東北の復興がままならない状況のままにも関わらず消費税を上げなければ日本は破綻するだの、アメリカの巨大企業が求める自由貿易を実現するためにTPPに参加しないと国際社会から見捨てられるだの、フクシマの事故の原因究明と安全対策が万全と言えない状態でも原子力発電所を再稼働させないと日本がたちゆかなくなるだの、言いたてられている。この状況を打開するためには、このプランAしかなく、このプランAを実行するのか、しないのか、しなければ日本はダメになるぞ、と脅すことが今の政治の在り方になっている。

ものごとはそんなに簡単に解決できるものではない。しかし、「郵政民営化、賛成か、反対か」とコイズミさんが言いだしたころから、「プランAしかない。お前はそれに賛成するのか、反対するのか」という問題の立て方が横行し始めた。著者は、それを「縮減モデル」と呼ぶ。そもそも「郵政民営化」が日本の命運を握る重大な問題だったのかどうかすら疑わしい。しかし、「プランAしかない。お前はそれに賛成するのか、反対するのか」という問題の立てられ方をされて、「プランAしかない」かどうかという検討は忘れられ、「お前はそれに賛成するのか、反対するのか」という限定された選択のみ残されてしまった。

私たちがいま考えるべきことが、「プランAしかない。」と言われたときに、それに賛成するか、反対するか、ではなく、まず、本当にプランAしかないのか、プランBはないのか、プランCはないのか、ということに思いを巡らすことである。「消費税を上げるしかない」「TPPに参加するしかない」「原子力発電所を再稼働するしかない」、本当にそれしかないのか。

八方ふさがりという状況は、「移行期」ということである。そこではその状況を打破するブレイクスルーが生まれる時期でもある。しかし、それには痛みを伴う。その痛みを引き受ける覚悟があるひとだけが、ブレイクスルーを生むことができる。この本が説いていることはすなわち、「その痛みを引き受ける覚悟」を持ちましょう、ということなのだと思う。


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