『ぼくは勉強ができない』(山田詠美著) この物語の主人公、時田秀美クンは山田詠美の作品の中で最も魅力的な男の子。
この『ぼくは勉強ができない』は、山田詠美の最高傑作だと思う。そして、この物語の主人公、時田秀美クンは山田詠美の作品の中で最も魅力的な人物だろう。
時田秀美クンは母子家庭で貧乏だけれども、それを弾き飛ばすだけの逞しさをもっている。教師の言うことがオカシイと思えばオカシイと言うし、年上の恋人はいるし、勉強ができることがすべてではない。学校というものに居心地の悪さ、窮屈さを感じているも、そこでしっかり生きている。読者は、間違いなく、時田秀美クンを羨ましいと思う。それだけこの時田秀美クンが魅力的なのだ。(ただし、自分が時田秀美クンに比べると取るに足らないと思わないほうが良い。)
久々に再読したが、惑わざる年を越えても、この作品は心をかき乱されて、そして楽しい。
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