『チェーン・ポイズン』(本多孝好著) 「ひとは死ぬ気になればなんだってできる」と良く言うけれど、それは生易しいことではない。
あるひとにお薦めされて読んでみた。著者の本多孝好さんの本は最近、書店に平積みされているが、なかなか手が伸びなかった。最近、なかなか読んだことのない作家の本には手が伸びなくなったので、お薦めを紹介してもらえるのはとても嬉しい。
久々に「やられた!」と思ったミステリーだった。途中、「ん?」とひっかかる箇所があったのだが、あまり気にせずに読み続けたら見事に「やられた!」。
「本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか?」という謎の人物のささやき。人気絶頂のバイオリニスト、陰惨な事件の被害者家族、三十代のOL。三つの自殺に不思議な関連性を見出した週刊誌記者・原田がその謎を探る。何故、1年後なのか?1年という時間はひとの生き方を変えるには十分な時間なのかそうでないのか?
「ひとは死ぬ気になればなんだってできる」と良く言うけれど、それが生易しいことではないことを、この物語は示してくれる。凄い物語だった。
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