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2012年6月15日 (金)

『計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話』(三島邦弘著) マーケティング(=売れ筋)に縛られず、面白い本を読者に届ける出版社の物語。

ミシマ社という異色の出版社を立ち上げた三島邦弘さんの本。出版の起業を思いついた経緯からこれまでミシマ社が歩んできた道を素直な表現で描いている。計画(決まりごと、常識、前例、ルール、効率、など)と無計画(衝動、突発性、柔軟性、非効率、など)という左右2本の線のあいだに、まさに自由に歩んできたのが、そのままミシマ社のあゆみということだろう。それに起業のヒケツだとか、起業してからの困難の乗り越え方を期待するのはヤボな話。

この本の「ブンダン主義」という言葉が面白い。ブンダン=文壇ではなく、分断だそうだが、いわゆるセクショナリズムのことを指すのかと思いきや、本のジャンルを絞る、想定される読者を絞ることもブンダン主義というところが面白い。とにかく、マーケティング(=売れ筋)に縛られず、年齢や性別などに関係なく、読者が「これ面白そうだな」と書店で実際に手にとってもらえるような「本」を世に送り出す。それがシンプルだけれども、ミシマ社の信条なのだろう。

そして、小さい出版社ゆえ、1冊の失敗が命取りにもなりかねない。ゆえに「一冊入魂」。全戦全勝で臨まなければならない。それゆえに、会社の中のブンダン主義は許されない。全員が同じフィールドを駆けまわり、パスをつなぎ、得点に結びつけなければならない。失点しないように全員で守り、失点したら、それ以上の得点に結びつけなければならない。ミシマ社は、フィールドを駆けまわるエネルギーをもったひとたちが本を作っている。そのエネルギーはその本が書店に置かれるときまで保存され続け、本がその熱を放っている。

私は、内田樹センセーの『街場の中国論』でミシマ社に出会った。なんだか面白そうなことを仕掛ける出版社だなあと思っていたが、なかなか、この本は面白かった。


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