演劇『ロミオ&ジュリエット』 シェイクスピア的な”芝居ががった”台詞も、イケメン君が口にすると様になる。
『ロミオ&ジュリエット』
2012年4月29日(日・祝)~5月27日(日)
赤坂ACTシアター
演出:ジョナサン・マンビィ
出演:佐藤健、石原さとみ、賀来賢人、菅田将暉、尾上寛之、姜暢雄、石野真子、長谷川初範、キムラ緑子、橋本さとし
赤坂サカスにある赤坂ACTシアターに『ロミオ&ジュリエット』を観に行ってきました。
↓恒例のカンバンをパシャリ。
誰もがなんとなくはあらすじくらいは知っているウィリアム・シェイクスピアの悲恋物語。ロミオは演劇初出演・初主演の佐藤健。シェイクスピア的な”芝居ががった”台詞も、彼のようなイケメン君が口にするとまあ、様になりますね。イケメン君の特権ですね。
芝居は、佐藤健と石原さとみの口上から幕を開ける。ああ、私たちが良く知っている、お馴染みのロミオとジュリエットのストーリーが展開するのだなあ、となんだか安心する。しかし、私は安心して演劇を観たくない。わくわくドキドキしながら観たいのだ。
14世紀イタリアの都市ヴェローナ。モンタギュー家とキャピュレット家という二つの敵対する家の間では争いが絶えなかった。モンタギュー家の一人息子ロミオ(佐藤健)はある夜、友人たちに誘われ、キャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込み、そこでモンタギュー家の一人娘ジュリエット(石原さとみ)に出逢い、二人は瞬く間に恋に落ちる。ロレンス神父(橋本さとし)の助けを得た二人は密かに結婚の誓いを交わすが、ロミオは友人のマキューシオを殺されて逆上し、ジュリエットの従兄ティボルトを殺してしまう。そして、ロミオは死罪をまぬがれるものの、ヴェローナから追放されてしまう。ここまでが第一幕。
第二幕は、ジュリエットがパリス伯爵と結婚させられそうになり、ロレンス神父に相談に行く。ロレンス神父はジュリエットに仮死状態になる薬を渡し、ロミオにジュリエットを迎えに来るように手紙を託す。しかし、その手紙はロミオには届かず、ジュリエットが自殺した、という知らせだけが届く。ロミオはジュリエットの眠る霊廟で死ぬことを決意しヴェローナに戻る。ロミオは霊廟でパリス伯爵と争い殺してしまう。そして、自分も毒薬で自殺する。ジュリエットが目ざめたとき、その傍らには死んだロミオの姿。ロミオを追い、ジュリエットはナイフを胸に突き自殺する。若い二人の死を憐れんだモンタギュー家とキャピュレット家の両家は和解し、めでたしめでたし、となる。
若い二人の命と引き換えに、長年憎しみ合ってきたモンタギュー家とキャピュレット家は和解する。この芝居の結末は、和解であり、若い二人の犠牲の上に、憎しみの連鎖が断ち切られた、ということが言いたいのかのように思える。しかし、憎しみの連鎖を断ち切る、というのであれば、友人を殺されたロミオが自重してジュリエットの従兄ティボルトを殺さなければ、そこで断ち切れていたはずである。むしろ、ロミオが憎しみの連鎖を断ち切れなかったことが、ジュリエットの命を奪った、と言うべきだろう。
ロミオとジュリエットの物語は、私は悲劇なのか喜劇なのか、よくわからない。そのわからなかった謎が、この舞台を観てやっと解けた。それは、ロミオもジュリエットも「幼い」からだ。「幼い」がゆえに、一目で恋に落ちる(ロミオはジュリエットに出会うまで他の女性を心に抱いているのにもかかわらず、である)。バルコニーの上と下で恋を語りあい、それがどういうことになるのかをあまり考えずに結婚の誓いを交わす。激情にかられてナイフを振りまわし、その挙句に決定的にこの恋を叶わぬものにしてしまう。神父の企てに乗り、怪しげな薬を飲んでしまう。愛するひとが死んだから毒薬を飲むし、自分の胸にナイフを突き立てる。
まるっきし、後先考えず、自分の身の中に宿った感情だけで動いている。感情だけで動くのは、幼い子供と同じだ。石原さとみのジュリエットが見事にそれを私たちに見せてくれる。
なお、この芝居には歌手として、多和田えみさんが出演している。彼女の歌う劇中歌もこの芝居の見どころならぬ聴きどころ、である。
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