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2012年4月19日 (木)

『天皇陵の誕生』(外池昇著) そもそも墓碑がない陵墓を○○天皇の墓であると、どうやって決められたのか? という問題について、近代史や文化財という観点からアプローチした本。

天皇陵とは何か? そもそも墓碑がない陵墓を○○天皇の墓であると、どうやって決められたのか? という問題について、考古学的にアプローチするのではなく、近代史や文化財という観点からアプローチした本。

古代の墳墓には、そもそも墓碑がない。古代の天皇の墓については、日本書紀や古事記などから埋葬地を推測するしかない。しかし、そもそもその実在すら疑われる天皇の墓というものが定められているし、記紀で埋葬地の記述がまちまちな天皇の墓というものも定められている。
平家とともに関門海峡に没してご遺骸がないはずの安徳天皇の墓というものも定められているし、即位したかどうかもハッキリしない南北朝時代の南朝の天皇の墓というものも定められている。では、誰が天皇陵を定めているかというと、それは歴代の天皇の鶴の一声だったり、宮内庁だったりするわけだ。つまりは、それを天皇陵と定めるのは、学術的な根拠よりも政治的な根拠が優先されている。

その一方で、○○天皇陵というものは宮内庁の管轄であり、まさに聖域の扱いを受けており、発掘や調査すら許されていない。考古学者たちは、宮内庁という高い壁に阻まれて、手をこまねいている。酷い言い方をすれば、それは考古学者の昼寝だとか怠慢だとか言うこともできるかもしれない。
しかし、古代の墳墓に関して言えば、学術的な根拠もなく、○○天皇陵として祀っていること自体、何か違和感を感じる。ちゃんと天皇家の先祖の墓として祀るのであれば、それが○○天皇の墓であると、学術的にも根拠を与えるべきではないだろうか。

エジプトのピラミッドのように失われた王家の墓であれば、学術的な調査や発掘が許されるかもしれない。しかし、天皇家は今も脈々と続いている家系であり、その祖先の墓として祀られているものをむやみに発掘などして良いものでもない、という事情もわかる。それにはその子孫とされる天皇家の許可が必要だろう。そうなると宮内庁という高い壁があるのだが、一方で古墳は文化財としても管理し、調査と保護というバランスを取りながら進めていくべきなのだろう。


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