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2012年4月20日 (金)

『閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義』(イーライ・パリサー著) 「あなたが求めるものしかあなたに与えない」インターネットは、もはや「自由でパブリックでオープンな場」ではない。

インターネットはその創世期から「自由でパブリックでオープンな場」を目指しているものと思われていた。情報を統制から解放し、異なる意見を持つ人間どうしがつながる時代をもたらす、とまさにネット社会は理想郷のように思われていた。
そしてインターネットの普及率が高まり、誰もが気軽にインターネットを利用できるようになった。商品も情報も、インターネットで手に入らないものはない、と豪語するひとたちが増えている。

しかし、果たして、そうだろうか。「自由でパブリックでオープンな場」であるはずのインターネットは今や、「パーソナライズ化」されている。グーグルやフェイスブックなどにより、インターネットブラウザには、グーグルやフェイスブックなどがカスタマイズした、閲覧者が「知りたい」であろう情報が表示される。インターネットさええれば「知りたい」ことを知ることができる。一見、それは便利なように見える。しかし、それはあくまでグーグルやフェイスブックなどが考えるあなたが「知りたい」であろう情報であり、しかも、「知りたい」と思った情報しか表示されなくなったらどうなるだろう。「自由でパブリックでオープンな場」は、「誰かが考える自由でパーソナライズ化されたクローズした場」になってしまわないだろうか。

著者はそれを「フィルターバブル」と呼ぶ。いつの間にかインターネットは、誰かが考えるフィルターを通して覗かれる世界になってしまっており、それが仮想社会だけではなく現実世界をも泡(バブル)のように覆いかぶさってくる。あなたが「知りたい」情報を与えてくれる世界は、あなたが「知りたい」としか思わない社会にあなたを閉じ込める。そこには新しい知への偶然の出会いやときめきや、それによる新たな発見や新たな世界に足を踏み入れることも自分を取り巻く社会を広げたり変えたりすることもできない。むしろ、グーグルやフェイスブック、統制された国家ではその独裁政党によって操作された社会の中で与えられるあなたが「知りたい」情報は、あなたの嗜好や思考を制限したり操作されたり、自分の「知りたい」社会の中でしか生きることさえ困難にしてしまう恐れがある。

私もアマゾンや楽天市場で買い物をする。仕事でちょっと知りたいことがあればグーグルで検索するし、ツイッターで自分の興味のあるひとのつぶやきを聞きたいとも思う。しかし、ネットショップは私へのおススメ商品を表示してくれるけれど、私のほしいものはそのトップ100に1品あるかないかである。それはあなたが私が「知りたい・欲しい」と思っているものであり、それを余計なお世話、くらいに思った方がちょうど良いのではないか。自分の「知りたい・欲しい」ものだけで満たされている世界、誰かが与えてくれた自分だけの世界、それを私は理想郷だとは思えない。むしろ、私はそれは息苦しい、生き苦しい世界ではないかと思えてならない。ひとはやはり、自分ではない他者を求めるものではないだろうか。そして、インターネットは、もはやその他者とのトキメクような出会いを制限する方向に進んでいるのではないか。

まずは、もはやインターネットは「自由でパブリックでオープンな場」ではない、ということをしっかりと心に刻むことだろう。その上で、インターネットとどうつきあっていくか、を考えて行動していかなくてはならない。



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