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2012年2月18日 (土)

『ハーモニー』(伊藤計劃著)  理想と謳われる世界は、それが実現してしまった世界を想像できない世界かもしれない。

『虐殺器官』を読んだ勢いで、『ハーモニー』も読んでみた。この物語は、『虐殺器官』と同じ時間軸で、『虐殺器官』のラストで描かれた「大災禍」の後の世界が描かれている。

医療分子の発達により病気が駆逐され、人々が健康的な生活を送ることができるようになった世界。それはひととひととの調和、思いやりや優しさが溢れる世界。スローガンとしては理想とされる世界だが、中にはそういう世界が窮屈だと感じるひともいる。そういう世界への反逆として、3人の少女が餓死による自殺を試みるのだが、、、

WatchMeという名の体内に埋め込まれた医療分子が健全な生活を約束する世界。WatchMeという名の通り、私は誰かに監視され続ける。それは神ではなく、ひとが作り上げたシステム。それは調和で満たされている。私たちはそういう世界を理想と謳いあげるが、しかし、それが実現してしまった世界というのを実は想像できない。それを想像することができないから、調和でみたされた世界というものが、理想として語られるのかもしれない。

この物語は、XMLのようなタブでくくられている珍しい物語である。<驚き><怒り><回想><叫び>といったタブが物語るものはなんなのか、物語を最後まで読むと、何故、この物語がそういう文法で書かれているのかがわかるだろう。

余談だが、この作品の中に坂口安吾の言葉が出てくる。ああ、この作家も安吾を読んでいたのだな、とふと親しさを感じてしまった。


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