『もう誘拐なんてしない』(東川篤哉著) 嵐主演でテレビドラマになったので敬遠していたが、この作家、なかなか面白い作品を書いている。
東川篤哉さんは、テレビドラマ化された『謎解きはディナーのあとで』で有名な作家。この『もう誘拐なんてしない』もこの正月にテレビドラマ化された。でも私は、実は両方とも観ていなかった。(嵐主演のドラマにアタリなし、である。)
書店でこの文庫本を見かけて、物語の舞台が下関・門司ということに惹かれて読んでみた。夏休みにたこ焼き屋でバイトしている大学生が、ひょんなことで助けた女子高校生を狂言誘拐する、という物語。そして、その女子高校生はヤクザの組長の娘で、その狂言誘拐が思わぬ展開になっていく、というもの。物語の流れも軽快で、しかも関門海峡がミステリィの舞台となっており、旅情ミステリィまではいかないが、その土地を上手く活かしたトリックにもなっている。
嵐主演でドラマになったので敬遠していたが、この作家、なかなか面白い作品を書いていることがわかった。思わぬ収穫だった。
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