『アイデアの99% ―― 「1%のひらめき」を形にする3つの力』(スコット・ベルスキ著) ひらめきはたったの1%にすぎない。残りの99%「整理力」「仲間力」「統率力」にもっと注力すべき。
帯に「実現しないアイディアはアイディアとは呼ばない。単なる妄想だ。」という佐藤可士和さんの言葉がある。アイディアを形にするための最初の第一歩は「ひらめき」かもしれないが、それはただの1%にしか過ぎない。巷には発想法や発想を膨らませる技術についての本が溢れている。次から次にアイディアを思いつくひとは自分はひらめきの天才と思っているかもしれないが、彼がそのアイディアを最後まで形にできるかどうか怪しい。
エジソンは「1%のひらめきと99%の努力」と言ったが、努力だけでアイディアが形になるとも言い難い。この本の著者は、残りの99%は、「整理力」「仲間力」「統率力」だと言う。アイディアマンはアイディアを次から次に思いつくことにばかり忙しく、自分のアイディアを形にするためにどうすればよいか、ということにはあまり力を注がない。むしろ、そういう作業を嫌う傾向があるのではないか。しかし、「実現しないアイディアはアイディアとは呼ばない。単なる妄想だ。」自分が素晴らしいアイディアだと心の底から思うのであれば、少し譲歩してアイディアを実現するために力を注ぐべきだろう。
アイディアを実現するためには、アイディアを思いついたひと個人の力だけではなかなか形になりにくい。そうなるとやっぱり、自分のアイディアを仲間に認めてもらい、その仲間にそのアイディアを一緒に実現することに喜びを見出してもらうようなチームマネジメントする力を身につけなくてはならないだろう。
そして、そういう力を発揮することはアイディアを思いつく以上に、重要だ。何せ、それがアイディアを実現する99%なのだから。
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