『カンブリア宮殿 村上龍×経済人3―そして「消費者」だけが残った』(村上龍著,テレビ東京報道局編集) 日本の経営者たちの言葉をドジョウさんにも聞かせたい。
テレビ東京『カンブリア宮殿』の書籍化3冊目の文庫化。最近は作家というより経済評論家みたいになってしまった村上龍。しかし、経営者にインタビューする切り口は、やっぱり作家である。かって村上龍がホストを務めていたテレビ番組があった。そのとき、ホストである村上龍がゲストに与えるプレッシャーが凄まじかったのだが、流石は日本を代表する経営者たち、村上龍というプレッシャーの前でもたじろぐことはない。(それとも、村上龍のプレッシャーが弱くなったのか、、、)
「コミットメント、つまり必達目標のアイディアというのは、実は日本的ではありませんか。」(カルロス・ゴーン)
国民との約束はすべて反故にして平気な顔をして政権の座に居座り続けている今の政権与党に聞かせたい言葉だ。日本人は日本人らしさ、日本人の美徳を失っているのではないだろうか。村上龍は、12/29のテレビ東京『カンブリア宮殿』でこう言っていた。「政治には期待から監視へ。」「2012年は、政治家に漠然とした期待を抱くのではなく、明確な約束をさせ言質を取り、それを達成するかどうか監視せよ。」今、政治家に求めるべきは期待ではなくコミットメントだ。そして、コミットメントを実行できなかったら、責任を取ってもらおう。
「有史以来、リーダーのない国は滅びているんですよ。リーダーはある日突然、どんぐりの背比べの中から、『おい、お前だ』というのでは出てこない。」(丹羽宇一郎)
「ドジョウが出てきてこんにちわ」で総理大臣になれるなんて、この国の政治はやっぱりどこか間違っている。今の政権与党にはリーダーを育ているしくみがない。だから、出てくるやつ出てくるやつが、なんじゃそりゃなトンデモナイひとばかりだったりする。そして、かっての政権与党もコイズミさんがリーダーを育てるしくみをぶっこわしてしまった。もはや、この国の政党にはリーダーを育てるしくみがない。だから、大阪でハシモトといかいう独裁者が政権を獲れたりする。恐ろしい。
日本の政治家たちは、日本の経営者たちの言葉にもっと耳を傾けるべきだ。それは経済界の言いなりになれと言っているのではありませんよ。
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