2011年の本ベスト5。選択は風をつかまえ、家路に最後の日の出を見て、回天は出撃する。
2011年に読んだ本から、5冊を選びました。
1.『選択の科学』(シーナ・アイエンガー著)
人生は選択の連続であるが、選択ほど難しいものはない。
それでも私たちは様々な選択を意識的に、または無意識に繰り返している。そして、例えどんな選択をしようとも、人生は無意味であるはずはない。
今年は「アメリカの有名大学教授の特別講義」本が乱立したが、ほとんどがスカで古本屋に売り払ってしまった。でも、この本だけは今も私の本棚に残っている。
2.『風をつかまえた少年』(ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著)
池上彰さんの番組で取り上げられていた本。アフリカの小さな国に生まれたウィリアム・カムクワンバ少年は、「学ぶ」ということの意義をその存在をもって私たちに教えてくれる。
私たちは飢餓という状況を想像すらできないが、自分たちの生活をよりよくしていくためには「学ぶ」ことがいかに重要か、ということをこの物語は教えてくれる。私たちはもう一度、「学ぶ」ということの意義を問い直すべきなのだろう。
3.『文藝別冊 ちばてつや 漫画家生活55周年記念号』
『あしたのジョー』には興味がないひとも、この本に収録されている『家路 1945~2003』だけでも読んでみてください。
『家路 1945~2003』は、終戦時に満州に住んでいたちばさん家族が、満州そのものが日本に見捨てられた状態で、ロシアや中国の脅威に脅えながら、日本への帰国を目指して、まさに命がけの旅をする様が描かれる。そして、それはそれは「あの日」から今日までの日本という国の歩みとも重なります。
4.『ムダヅモ無き改革 6』(大和田秀樹作)
「ファイナルライジングサン」のスケールの大きさにブッ飛ばされる。
月面で、小泉ジュンイチローがアシモを従え、人類の存亡をかけてスーパーアーリア人に覚醒したヒットラーと麻雀で闘うという、この紹介文だけで十分トンデモナイ漫画の第一部完結編。こういうスケールの大きなコマ使いができる漫画家は、日本では大和田秀樹か島本和彦しかいない。
5.『特攻の島 3』(佐藤秀峰作)
生きる意味を知る=死んでも良い、というのであれば、生きる意味などというものは死んでもわからない方がずっと良い。
太平洋戦争末期の特攻兵器、人間魚雷『回天』。その若い搭乗員を描いた漫画。回天隊員たちの「死ぬためにここに来た。死ぬために今日まで生きてきた」という思いは切なく悲しい。こういう状況に若者を追いんでしまわないように、とにかく戦争を起こさないこと、戦争に巻き込まれないことを切に願わずにはいられない。
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