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2011年9月 6日 (火)

『官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~』(久保田崇著)  「飛び込み」でかつ「優先度高」の緊急業務にどう立ち向かっていくか。官僚から学ぼう

前の総選挙で、民主党やみんなの党など、官僚を諸悪の根源と主張した政党が票を伸ばした影響もあってか、この国のために懸命に働いている官僚が悪者になってしまった。そして、官僚が悪者であると国民が支持したと思った民主党政権は事業仕訳の場などで官僚を国民の前でいじめることで、最初は支持を伸ばした。そういう状況にあって、民主党の政治家は官僚を下僕のように扱っていたのではなかろうか。

そういう中、国会がれば官僚は大臣のために夜遅くまで、場合によっては徹夜して答弁を作成し、国会がないときも法案の作成などでてんてこまいである。 サービス残業の禁止だとかワークライフバランスとか言っている官僚が率先してサービス残業したり、家庭を顧みずこの国のために(というかこの国の政治家のために)身を粉にして働いている。政治家たちは官僚の「天下り」をもって官僚を悪者にしてきたが、もはや若い官僚は「天下り」を当てにしていない。著者のようにこの国のために懸命に働いているひとたちも多いと聞く。

官僚にとって国会期間中に大臣の答弁を作成することは、通常業務ではなく、「飛び込み」でかつ「優先度高」の緊急業務である。「飛び込み」でかつ「優先度高」というのは実は仕事を進める上で諸悪の根源で、これを上手く対処できることは、仕事ができる、という条件の1つと言っても良い。働きづめのアリに非常時にもっと働けと言っているようなものだが、1日は24時間しかないし、飯を食ったり寝たりもしなければならないのだから、いかにそういう仕事を上手く早く片付けることができるか。

そういうテクニックを期待して読んだのだが、冒頭は官僚ならでは、というテクニックがあり参考になった。ただ、やっぱりそういうテクニックは決して特殊ではない、ということだ。他のビジネス書で書かれているような当たり前のことを当たり前にこなす。そういう当たり前のことをちゃんとできる、ということがやはり仕事ができる、ということだということに改めて気づかされる。

ハト政権やカン政権がダメだったのは、官僚の力を借りない、同じ政党でもアイツらの力は借りない、自分でなんでもできる、という思いこんでしまったからだ。この見込みの甘さと自信過剰がこの国をますます停滞させてしまった。著者のような優秀で善良な官僚にどんどん働いてもらえると、この国はよくなるのではないだろうか。

官僚に学ぶ仕事術 〜最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック〜 (マイコミ新書)Book官僚に学ぶ仕事術 〜最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック〜 (マイコミ新書)

著者:久保田 崇
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この記事を書いた後、著者の久保田崇さんは官僚を辞めて、陸前高田市の副市長に就任されたと知りビックリ。新天地でのご活躍を祈りたい。

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