『「権力」を握る人の法則』(ジェフリー・フェファー著) 自分のしたいことをしたければ「権力」を握れ。なんてな
「『権力』を握りたい」。そうあからさまに宣言することは恐らく大多数のひとがためらいを感じるのではないだろうか。私たちは、権力者=悪代官と思いこんでいる。悪代官は下品で金の亡者で私腹を肥やして黄門さまに懲らしめられる者というイメージがある。だから「『権力』を握る」ということにどこか後ろめたさを感じてしまう。
しかし、「『権力』を握る」ということは「自分のしたいことをできる」前提条件である。「正しいことをしたければ偉くなれ」というのは『踊る大捜査線』の和久さんの言葉だが、これは真実である。自分に「権力」がなければ「正しいこと」はできないし、「権力」がないがために、自分のしたいことができなかったり、正しいと思っていることができなかったり、もっと悪いケースだと、自分の嫌なことばかりやらされたり、自分が悪いと思っていることを強要されてしまうかもしれない。そう考えると、可能な限り、『権力』は握っておいた方が良い。
残念ながら、この世の中は不公平なことばかりだ。それは『権力』を握った者たちが、自分たちが都合の良いようにルールを作ってしまうからだ。ルールは公平さを保障するものではない。かってアメリカが日本製品の輸入により自国の産業や雇用が脅かされていた時、アメリカが日本を「フェアじゃない」という非難していた。しかし、アメリカ自身が「フェアじゃない」ことはアメリカ以外の国にとってはわかりきったことだったし、そして今や、アメリカ人ですらフェアネスを信じていないようだ。
この本は、何故、『権力』を志向しなければならないのか、そして『権力』を握るために身につけるべき素質について、そしてどうすれば『権力』を手に入れることができるのか、さらには『権力』を握った後の心構えまでを述べている。『権力』を手に入れるための素質はすべて後天的な素質なのだから、誰でも『権力』を握ることができる。それをやろうとするか、しないか、それだけの差だが、しかし、それが「自分のしたいことができるか」それとも「誰かにいいように使われるままになってしまうのか」の二者択一だと言われれば可能な限り、『権力』は握っておいた方が良い。この本は、その道を指し示すものとしてかなり参考になるのではないだろうか。
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著者:ジェフリー・フェファー |
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