『GOSICKVIII下‐ゴシック・神々の黄昏‐』 (桜庭一樹著) GOSICKシリーズもついに完結。そしてヴィクトリカと一弥は新しい世界へ
GOSICKシリーズもついに完結。角川文庫で刊行されなければ、このシリーズと出会うこともなかっただろう。ありがとう角川書店。
監獄に幽閉され、その父ブロワ伯爵によって「オカルト兵器」としてその”知恵の泉”を利用されていたヴィクトリカを、その母コルデリアは身を挺して救い出す。ブロワ伯爵の手を逃れたヴィクトリカは亜細亜の島国を目指す。一方で、徴兵された一弥は「新しき世界」との戦いの場の最前線にいた。
ヴィクトリカは、「古い世界」から「新しき世界」へ向かう。それは囚われの身から、自分自身を解放する旅でもあった。そしてその旅の終わりには、、、
そして、それは、ヴィクトリカだけでなく、彼女の周りのひとびとの生き方を大きく変えることになる。ヴィクトリカの精神の解放は彼らの精神の解放でもあった。「新しい世界」は、味気なく感じるかもしれないが、それ以上に希望に溢れている。
ラストは、このGOSICKシリーズが次の局面に進むことを示しているが、私はこれは余計だったと思っている。これからこの本を読まれる読者には、「エピローグ」に進む前に、ヴィクトリカの最後の言葉の余韻を十分に楽しんでから、読み進めていただくと良いと思う。
![]() | ![]() | GOSICKVIII下‐ゴシック・神々の黄昏‐ (角川文庫)
著者:桜庭 一樹 |
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