『不機嫌な職場を楽しい職場に変えるチーム術』(ボブ・パイク, ロバート・フォード, ジョン・ニューストローム著) 楽しい職場であれば優秀な人材を確保できる、ということだけでも説得力がある
「仕事は楽しいかい?」。この質問に即座に「はい」と答えられるひとは幸せである。この物語は、朝いちから、部下に「仕事が楽しくない」と言われ、ヘコんでしまった上司が、なんとかできないものだろうか、と悩むことから始まる。
『ザ・ゴール』以降、物語形式で悩みを解決していくビジネス書が多い。この本も、自分の職場の雰囲気に悩む上司が、あるアドバイザーと出会い、また楽しい職場を作っているひとたちにインタビューしていくうちに、自分の職場を楽しい職場に変えるべく、上司を説得し、そして楽しい職場を作っていく、という物語になっている。
かって、私は上司から、「楽しいことはお金を払ってするもの。仕事はお金をもらっているのだから辛いもの、苦しいもののなのは当たり前」と言われたことがある。それはある意味、正しいと今でも思う。仕事は楽しいもの、楽しくないからすぐ辞める、というのはあまりに短絡的だと思う。
それと当時に、1日の半分以上を私たちは会社の職場で過ごしている。その時間がただ楽しくない、苦しい時間であって良いともどうしても思えなかった。職場が楽しくなければ、仕事に楽しみを見つけることができなければ、なんとも味気ないものか、とも思った。
楽しい職場にしたい、楽しく仕事をしたい。そう願うひとがいる一方。何故、楽しい職場にしなければならないのか、という疑問や反論も出てくるだろうし、楽しい職場にするために何故コストをかけなければならないのか、という経営陣の反対も出てくるだろう。
それに抗して楽しい職場にするためには、楽しい職場にすることによる効果を可視化し、これだけの効果がある・あった、ということを納得してもらうしくみをつくることだ。その重要性をこの本では重視している。
笑いには健康にも良いそうで、笑いのある職場になると欠勤率が下がったり、離職率が下がったり、といった効果も期待できるとのこと。つまり、楽しい職場であれば優秀な人材を確保できる、ということだけでも説得力がある。
![]() | ![]() | 不機嫌な職場を楽しい職場に変えるチーム術
著者:ボブ・パイク,ロバート・フォード,ジョン・ニューストローム |
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