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2011年7月20日 (水)

『神様のカルテ』(夏川草介著) まるで夏目漱石の作品の登場人物が夏目漱石の作品のような悩み方をする

この作品が2010年の本屋大賞第二位で本屋の店頭でも平積みされていたのでベストセラーだということは知っていた。そして、この作品は映画化されるのだが、私はそれを観ないだろうから、文庫化を機に読んでみた。
(ジャニーズタレント主演映画にアタリなし、である。)

主人公の栗原一止(いちと)は信州にある「二四時間、三六五日対応」の病院で働く内科医。職場は慢性的に医師不足で急患が容赦なく運ばれてくる。結婚記念日にも家に帰れないほどの激務ぶりである。
そんな彼に大学病院で最先端医療を学ばないかと誘いがかかる。しかし、彼はそれは目の前の患者を見捨てることではないか、と悩む。そんな彼が高齢の癌患者・安曇さんを担当することになり、、、

主人公は夏目漱石の『草枕』を愛している。彼の喋り方、考え方は、まさに夏目漱石の作品に出てくる登場人物のようでもある。そして、彼の細君も、彼と同じアパートに住む画家の卵や苦学生も、夏目漱石の作品に出てきそうな造形である。信州は時の流れが明治で止まっているのだろうか、と思わずにはいられないくらい、彼と彼を取り巻く世界は夏目漱石の作品世界のように思えてくる。

そもそも私は夏目漱石の作品が好きではない。夏目漱石のかかえていた悩みというものにまったく共感できないからだ。そして、全面的に夏目漱石の作品の登場人物のようなひとたちが歩きまわるこの作品には、どうしてもなじめなかった。

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著者:夏川 草介
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