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2011年7月15日 (金)

『21 twenty one』(小路幸也著) 生きていくこと。それが死んでしまった者への弔い

21世紀に21歳になる21人の中学生のクラスメイトたち。奇跡的に仲良しな21人のひとりが卒業から10年後に自殺した。特別な絆で結ばれていたと信じていたクラスメイトたちは、彼の自殺の原因にそれぞれ思いを巡らせるが、、、

小路幸也の作品のモチーフとして、「かっての仲間の死」というものがある。『モーニング Mourning』という作品は、親友の葬儀のため、二十数年ぶりに福岡に集まった大学時代の仲間4人のうちのひとりが、葬儀の後、自殺をほのめかすことから物語が始まる。友人の自殺を思いとどまらせるため、友人が自殺を考えるような理由を探りだすことで、これまでの人間関係を、これからの人間関係に変えていく、という物語だった。

この『21 twenty one』でも、心優しきかってのクラスメイトたちは、彼が自殺した原因に思いを巡らせる。彼が自殺した原因はこれだったかもしれない、あれだったかもしれない、みんながそれぞれ自殺した原因を探り出そうとする。

身も蓋もない言い方だが、私は自殺した理由というものに意味はない、と思う。例え遺書らしきものが残っていようとも、それが自殺の理由だったのだろうか、おそらく本人ですら判らないだろう。そして、本人に自殺した理由を問えないという時点で、自殺の理由なんてものに意味はない、と私は思う。私はあなたが自殺した理由を考えないし知ろうとも思わない、というのが私にとって彼を弔うことだと思っている。

しかし、この物語の登場人物たちはそういう態度をとらない。自殺の原因は自分にあるんじゃないか、と自分を責めたりもする。そして、もっとも誰もが納得できる答えを導き出して、前に進もうとする。それもまた、これからを生きていくひとたちの務めであり、それが死んでしまったものへの弔いだと言えるだろう。

ただ、「21世紀に21歳になる21人」という偶然が生んだ連帯感だとは言え、卒業して10年間も誰一人欠けることなくその連帯感を失わなかった、ということ自体、私にはちょっと不気味に見える。それが、私がこの物語に共感できなかった理由のひとつかもしれない。

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著者:小路 幸也
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