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2011年7月21日 (木)

『最終講義-生き延びるための六講』(内田樹著) 「上機嫌」であれば頭の回転が良くなり、それにより自分の限界を超えることができる

「生きる技術!叢書」シリーズの第一弾である。とはいえ、この本に書かれていることが生きるために必要な技術を提供しているとも思えないが、それはさておき、これは、今年3月に退官された内田樹センセーの最終講義加え、これまで行なわれた内田センセーの講演のなかからよりすぐりの「名演」をまとめて収録したものである。

学びとはなにか、など、内田センセーの書籍を読んだひとたちにとってはお馴染みの話題が多いのだが、内田センセーがブログに書いたり本にするために書いたものとは違い、聴講者に向かって語りかけた言葉ゆえのライブ感がある。

「日本の人文科学に明日はあるか(あるといいけど)」の中で、知性を高いレベルに維持するためには、自分の知性が最高の状態でないことに空腹や眠気や渇きと同じような激しい欠落感を感じることが必要と述べている。そして、そのためには「上機嫌でいる」ことが大切だとも。「上機嫌」であれば、頭がフル回転できる。使えるものは何でも使おうとするし、そうすることによって自分の限界を超えることができる。

何かの目的のため、の勉強ではそういうことは起こらない。目標を達成するために最低限、最短の道を進むだけだからだ。そして、それは自分のため、であって、自分の次のひとのため、ではない。学問とは自分の次のひとたちのために道を開くことである。それによって継がれてきた学問が残っていく。

そして、それは学問に限ったことではない。会社勤めのひとにとっても同様のことが言えるのではないだろうか。自分の今の仕事が次の世代のひとたちの道を作る。そう考えて仕事をすれば、仕事は楽しくなるのではないだろうか。

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