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2011年6月28日 (火)

『大津波と原発』(内田樹, 中沢新一, 平川克美著) 日本の歴史がポキッと折れた。日本のこれからのヴィジョンはみんながそれぞれ考えよう

内田樹、中沢新一、平川克美という3人の論客が、3.11から約3週間後にインターネット中継した鼎談を再録した本。

震災と原発事故により、日本の歴史がポキッと折れたという認識をもとに話が始まる。

原子炉を冷やすため消防車が建屋に放水したり、汚染水の流出を防ぐために入浴剤や紙おむつに使われる素材を使ったことに対し、日本人らしい「ブリコラージュ」という指摘も面白い。ただし、私は例え海外メディアからバカにされようが、あの時点では可能性のあることは何でもする、という姿勢は正しかったと思う。長期的な展望がないとか、無策に見えたかもしれないが、日本人らしい「ブリコラージュ」というものは、日本人の良さだと私は解釈したい。

また、安全神話を語る方は安全神話を疑われないように「万が一」の話ができなくなり、安全神話を疑う方はそらみたことかと言いたくて事故が起こることを心待ちにしている、という指摘も面白い。 お互いの立場を守りたいがために、歩み寄ることを拒絶してしまうと、本音の話ができなくなる。そういう状況こそが危険を生む。

さらに、第七次エネルギー革命と言われる、コンピュータと原子力。これまででは自然からエネルギーを借りていたのだが、この第七次エネルギー革命は、自然界からそのまま借りられないエネルギーを取り出したところに、無理がある。しかし、テクノロジーに善悪はない。しかし、それを人間が御することができるのか、という問題は別だ。原子力発電所の事故対応、放射能汚染が広がった後の対応を見ていると、少なくとも今の日本国政府に原子力というエネルギーを扱う能力はないように思える。原子力というのは一神教で、これも日本人の性分には合わないのだろう。無理をする必要もない。

その後、中沢新一さんが、「緑の党」的なものを結党するとかという話になるが、あまり実現性はないだろう。孫正義さんにスポンサーになってもらって、などと言っているようではダメだろう。最近、孫さんはカンナオトと手を組んだようだが、それは孫さんの新しいビジネスを儲けるものにするために手を組んだだけで、これからの日本をどうする、というヴィションを持っているようには思えない。

もっとも、日本のこれからのヴィジョンはみんながそれぞれ考えよう、という言葉で締めくくられるのは、正しいが。

大津波と原発Book大津波と原発

著者:内田 樹,中沢新一,平川克美
販売元:朝日新聞出版
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