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2011年6月 1日 (水)

『文藝別冊 ちばてつや 漫画家生活55周年記念号』 『あしたのジョー』には興味がないひとも、この本に収録されている『家路 1945~2003』だけでも読んでみてください

書店で『あしたのジョー』の表紙に惹かれ、パラ読みするつもりが、この本に収録されている『家路 1945~2003』という作品を読み、その場で涙が溢れそうになり、そのままレジにこの本を持って行った。

ちばてつやさんという漫画家は、後輩漫画家たちに愛されている漫画家である。つまり、ちばさんの漫画は漫画少年たちを魅了し、漫画家を志すひとたちにとって憧れであり、ちばさんが漫画を描き続けることが彼らを励ましてきたのだろう。

しかし、私はちばさんの作品を1冊も買ったことがない。アニメの『あしたのジョー』は観ていたし、ノーガード戦法とかクロスカウンターとか、子どもの遊びでやっていた。また、ちばさんへの憧れの強い江口寿史さんの漫画では、『あしたのジョー』のパロディが何度も登場する。そういうことを通じてちばてつやという漫画家は知ってはいたけれど、残念ながら、これまでちばさんの作品を読んだことが無かった。

『家路 1945~2003』は、終戦時に満州に住んでいたちばさん家族が、満州そのものが日本に見捨てられた状態で、ロシアや中国の脅威に脅えながら、日本への帰国を目指して、まさに命がけの旅をする様が描かれる。その旅で、ひとびとは命を落とし、ちばさんも友達を失う。そして、この漫画は、このひとことで締めくくられる。

「そう………あれは、たった…たった五十八年前のことだったんだ……」

日本がいくら高齢化社会になっているとはいえ、私たちは1945年8月15日のそのときを生きたひとの話を聞く機会はほとんどなくなっている。ちばさんのこの作品は、まさに「あの日」、そして「あの日」からちばさん一家が日本に帰国する旅だけではなく、「あの日」から今日までの日本という国の歩みを、わずか40ページの漫画の中に凝縮されている。私はただ圧倒され、そして感激した。

ちばてつやという漫画家とちばさんの作品が、何故愛されて続けているのか、その答えを解くカギがこの作品の中にある。

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販売元:河出書房新社
発売日:2011/02/07
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